口腔外科領域におけるCS-807の基礎的・臨床的検討

新セフェム系経口用抗生剤のCS-807について基礎的, 臨床的検討を行った。 1) 本剤20mg/kgをNZW種家兎に経口投与し, 血清中および組織移行を測定し, 実測直をもとに薬動力学的解析を行った。血清中濃度のTmaxは0.88hr, Cmaxは13, 8μg/ml, 口腔各組織移行は, 舌Tmax 0.92hr, Cmax 11.0μg/g, 歯肉Tmax 0.80hr, Cmax 14.0μg/g, 耳下腺Tmax 0.76hr, Cmax 12.2μg/g, 顎下腺Tmax 0.72hr, Cmax 7.38μg/g, 顎下リンパ節Tmax 0.51hr, Cmax 7.38μg/g...

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Published inCHEMOTHERAPY Vol. 36; no. Supplement1; pp. 1118 - 1126
Main Authors 森島, 丘, 関口, 登喜子, 佐々木, 次郎, 坂本, 春生, 植松, 正孝, 太田, 嘉英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 1988
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ISSN0009-3165
1884-5894
DOI10.11250/chemotherapy1953.36.Supplement1_1118

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Summary:新セフェム系経口用抗生剤のCS-807について基礎的, 臨床的検討を行った。 1) 本剤20mg/kgをNZW種家兎に経口投与し, 血清中および組織移行を測定し, 実測直をもとに薬動力学的解析を行った。血清中濃度のTmaxは0.88hr, Cmaxは13, 8μg/ml, 口腔各組織移行は, 舌Tmax 0.92hr, Cmax 11.0μg/g, 歯肉Tmax 0.80hr, Cmax 14.0μg/g, 耳下腺Tmax 0.76hr, Cmax 12.2μg/g, 顎下腺Tmax 0.72hr, Cmax 7.38μg/g, 顎下リンパ節Tmax 0.51hr, Cmax 7.38μg/g, 下顎骨Tmax 1.09hr, Cmax 3.20μg/gであった。 2) 11名の健常volunteerに本剤200mgを経口投与し, CS-807の血清中濃度において空腹時投与, 食後投与の比較を行った。空腹時投与では, 2時間にピークをもつもの5夙3時間にピークをもつもの5例であり, 空腹時投与では, 血清ピーク値の平均は2.67μg/mlであった。また, 食後投与では, 3時間にピークをもつものが多くピーク値の平均値は, 2.57μg/mlであった。このうち, 食後投与が空腹時投与よりも, ピーク値の高いものが5例あった。また, ほぼ同程度の移行を示したものが2例あり, 食後投与の方が空腹時投与よりも, ピーク値の高い例が認められた。 3) 131例の患者の抜歯創血液移行について, 本剤200mg投与後, 抜歯創の血液を採取し測定した。個体差がありバラツキが大きいが0.39μg/mlをターゲットと仮定すると, 2時間から4時間では90%の症例がターゲットを越える濃度を示していた。 4) 口腔外科領域化膿性炎18例に対し, 本剤を投与したところ, 94.4%の有効率であった。また, 1例に軽度の下痢をみとめたものの, 他に重篤な副乍用はみとめられず, 臨床検査値の異常もみとめられなかった。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.36.Supplement1_1118