胆嚢転移をきたした腎細胞癌の2例

今回われわれは腎癌手術後に胆嚢転移をきたした2症例を経験したので報告する.症例1は76歳,男性. 7年前左腎癌で左腎摘術を受けた.今回胃癌と胆嚢のポリポイド状腫瘍と診断され,胃亜全摘術および胆嚢摘出術を施行された.胆嚢腫瘍は組織学的には明細胞癌で,胆嚢粘膜下に認められ,腎癌の組織と同様のため腎癌の胆嚢転移と診断された.症例2は60歳,女性. 8年前に左腎癌で左腎摘術を施行された.右季肋部痛を主訴として精査の結果肝転移を伴う胆嚢癌と診断され,胆嚢摘出術,肝床切除術,肝腫瘍核出術を施行された.胆嚢腫瘍は表面不整な隆起性の腫瘍で肝床部にも浸潤していた.腫瘍細胞は主として間質内を中心に増殖しており,組...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 11; pp. 2717 - 2722
Main Authors 竹林, 正孝, 若月, 俊郎, 豊田, 暢彦, 谷田, 理, 鎌迫, 陽, 野坂, 仁愛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.11.2006
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.2717

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Summary:今回われわれは腎癌手術後に胆嚢転移をきたした2症例を経験したので報告する.症例1は76歳,男性. 7年前左腎癌で左腎摘術を受けた.今回胃癌と胆嚢のポリポイド状腫瘍と診断され,胃亜全摘術および胆嚢摘出術を施行された.胆嚢腫瘍は組織学的には明細胞癌で,胆嚢粘膜下に認められ,腎癌の組織と同様のため腎癌の胆嚢転移と診断された.症例2は60歳,女性. 8年前に左腎癌で左腎摘術を施行された.右季肋部痛を主訴として精査の結果肝転移を伴う胆嚢癌と診断され,胆嚢摘出術,肝床切除術,肝腫瘍核出術を施行された.胆嚢腫瘍は表面不整な隆起性の腫瘍で肝床部にも浸潤していた.腫瘍細胞は主として間質内を中心に増殖しており,組織学的には明細胞癌で原発の腎細胞癌と類似していることから腎細胞癌からの転移と診断した.転移性胆嚢癌は極めて稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2717