持続する出血をフィブリン糊注入療法にて止血した外傷性心タンポナーデの1例
われわれは外傷性心タンポナーデの持続性出血に対して,経皮的フィブリン糊注入療法を用い救命しえた1症例を経験した.症例は53歳,男性.乗用車運転中,ブロック塀に衝突し受傷した.来院時,ショック状態で,急速輸液,昇圧剤投与にも反応がなく, CTにて心タンポナーデを認めた.直ちに心嚢穿刺を施行し,カテーテルを心嚢内に留置したところ循環動態は落ち着いた.しかし,カテーテルから少量の出血が持続したため,心嚢内フィブリン糊注入療法を施行した.その後,心嚢内出血は認めず,内圧などの変化もなく,受傷後第2病日にカテーテルを抜去し,第20病日に退院した.外来観察中だが,特に問題は認められていない.心嚢内フィブリ...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 10; pp. 2395 - 2398 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.10.2002
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.63.2395 |
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Summary: | われわれは外傷性心タンポナーデの持続性出血に対して,経皮的フィブリン糊注入療法を用い救命しえた1症例を経験した.症例は53歳,男性.乗用車運転中,ブロック塀に衝突し受傷した.来院時,ショック状態で,急速輸液,昇圧剤投与にも反応がなく, CTにて心タンポナーデを認めた.直ちに心嚢穿刺を施行し,カテーテルを心嚢内に留置したところ循環動態は落ち着いた.しかし,カテーテルから少量の出血が持続したため,心嚢内フィブリン糊注入療法を施行した.その後,心嚢内出血は認めず,内圧などの変化もなく,受傷後第2病日にカテーテルを抜去し,第20病日に退院した.外来観察中だが,特に問題は認められていない.心嚢内フィブリン糊注入療法については,急性心筋梗塞後の亜急性型心破裂(心タンポナーデ型)に対して有効例が多数報告されている.しかし外傷性心タンポナーデに応用した症例はない.本法は有効な治療法の1つと考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.63.2395 |