原発巣切除後早期に肝転移をしたα-fetoprotein産生横行結腸癌の1例

症例は60歳,男性.主訴は全身倦怠感. AFP産生横行結腸癌の切除術後40日目に血中AFPの再上昇と腹部CT検査で肝に腫瘤を認めたため転移性肝癌の診断で外側区域切除術を施行した.組織学的には結腸とほぼ同一の低分化腺癌で, AFP免疫染色では低分化な組織の一部に陽性像を認めた.血中AFP値は急速に低下し第2回手術後2カ月目より正常範囲内となり, 24カ月を経過した現在肝のほか腹腔内臓器に転移,再発を認めていない. AFP産生大腸癌の報告は極めて稀であるが,高度な肝転移症例が多く予後不良であり,肝切除術が施行された症例は本症例を含めてわずか7例で,うち1例は肝切除術後3カ月の短期で癌死している....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 11; pp. 2732 - 2737
Main Authors 清水, 幸雄, 瀬戸口, 誠, 宮本, 康二, 清水, 保延, 松波, 英寿, 由良, 二郎, 池田, 庸子
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.11.2001
Subjects
α-fetoprotein産生腫瘍
横行結腸癌
肝転移
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Summary:症例は60歳,男性.主訴は全身倦怠感. AFP産生横行結腸癌の切除術後40日目に血中AFPの再上昇と腹部CT検査で肝に腫瘤を認めたため転移性肝癌の診断で外側区域切除術を施行した.組織学的には結腸とほぼ同一の低分化腺癌で, AFP免疫染色では低分化な組織の一部に陽性像を認めた.血中AFP値は急速に低下し第2回手術後2カ月目より正常範囲内となり, 24カ月を経過した現在肝のほか腹腔内臓器に転移,再発を認めていない. AFP産生大腸癌の報告は極めて稀であるが,高度な肝転移症例が多く予後不良であり,肝切除術が施行された症例は本症例を含めてわずか7例で,うち1例は肝切除術後3カ月の短期で癌死している. AFP産生消化管癌の治療にあたっては肝転移に対する検索を常に行い,術後早期より血中AFP測定や画像診断などによる厳重な経過観察が必要と思われた.また消化管癌の治療に際しては血中AFPの術前からの測定は必須であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2732