小肝細胞癌に対する経皮的超音波ガイド下エタノール局注療法の検討

小肝細胞癌治療の目的で,経皮的超音波ガイド下エタノール局注療法を行い治療効果を検討した.対象は肝細胞癌患者15例で,腫瘍直径は1.6cmから5.1cmにわたった.方法は超音波ガイド下に22G. PTC針で直接腫瘍部を穿刺し,無水エタノール1~3mlを注入した.その結果,AFPの明らかな下降が15例中10例(67%)にみられた.また血管造影像での腫瘍サイズの縮小または腫瘍の消失が10例中9例(90%)に見られた.治療後手術をおこなった2例中1例は腫瘍部は100%壊死におちいっており,もう1例は90%壊死におちいっていた. 以上全体として15例中13例(87%)に有効であった.重篤な副作用は認めら...

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Published in肝臓 Vol. 27; no. 11; pp. 1559 - 1567
Main Authors 藤本, 隆史, 田中, 正俊, 谷川, 久一, 平井, 賢治, 真島, 康雄, 岩井, 一郎, 酒井, 輝文, 剣持, 邦彦, 阿部, 正秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1986
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.27.1559

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Summary:小肝細胞癌治療の目的で,経皮的超音波ガイド下エタノール局注療法を行い治療効果を検討した.対象は肝細胞癌患者15例で,腫瘍直径は1.6cmから5.1cmにわたった.方法は超音波ガイド下に22G. PTC針で直接腫瘍部を穿刺し,無水エタノール1~3mlを注入した.その結果,AFPの明らかな下降が15例中10例(67%)にみられた.また血管造影像での腫瘍サイズの縮小または腫瘍の消失が10例中9例(90%)に見られた.治療後手術をおこなった2例中1例は腫瘍部は100%壊死におちいっており,もう1例は90%壊死におちいっていた. 以上全体として15例中13例(87%)に有効であった.重篤な副作用は認められず,エタノール注入前後の血中エタノール濃度にも有意な上昇は認められなかった.経皮的超音波ガイド下エタノール局注療法は小肝細胞癌に対する有効な内科的治療法であると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.27.1559