腹腔鏡下手術を施行したS状結腸間膜内ヘルニアの1例

症例は, 33歳の女性で左下腹部痛を主訴に紹介され,イレウスの診断にて入院となった.開腹手術および腹部外傷の既往はなかった.腹部CTでは, S状結腸間膜背側に嵌頓した小腸塊を認めた.イレウス管留置による保存的治療にてイレウスの改善なく,小腸造影にて左下腹部に閉塞部位が確認された.入院10日目,内ヘルニアの診断にて腹腔鏡下手術を施行した. S状結腸間膜左葉に小欠損を認め,そこに小腸が約15cm嵌頓していた.腹腔鏡下に嵌頓小腸を整復し, S状結腸間膜内ヘルニアであることを確認し,間膜を縫合閉鎖した.腸管切除は不要であった.術後経過は良好で6病日に退院となった. S状結腸間膜内ヘルニアは,極めて稀な...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 12; pp. 3006 - 3010
Main Authors 並木, 健二, 松本, 宏, 今野, 文博, 野津田, 泰嗣, 武山, 大輔, 三井, 一浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.12.2005
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.3006

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Summary:症例は, 33歳の女性で左下腹部痛を主訴に紹介され,イレウスの診断にて入院となった.開腹手術および腹部外傷の既往はなかった.腹部CTでは, S状結腸間膜背側に嵌頓した小腸塊を認めた.イレウス管留置による保存的治療にてイレウスの改善なく,小腸造影にて左下腹部に閉塞部位が確認された.入院10日目,内ヘルニアの診断にて腹腔鏡下手術を施行した. S状結腸間膜左葉に小欠損を認め,そこに小腸が約15cm嵌頓していた.腹腔鏡下に嵌頓小腸を整復し, S状結腸間膜内ヘルニアであることを確認し,間膜を縫合閉鎖した.腸管切除は不要であった.術後経過は良好で6病日に退院となった. S状結腸間膜内ヘルニアは,極めて稀な疾患で,本邦報告例では38例目である. S状結腸間膜に起因するヘルニアの検討とともにS状結腸間膜内ヘルニアのCT診断の有用性について報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.3006