尿路性器感染症に対するCarumonamの臨床評価

• Published in: CHEMOTHERAPY Vol. 35; no. Supplement2; pp. 714 - 721
• Main Authors: 菅田, 敏明, 徳永, 周二, 平野, 章治, 大川, 光央, 久住, 治男, 島村, 正喜, 宮城, 徹三郎
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益社団法人 日本化学療法学会 1987
• ISSN: 0009-3165; 1884-5894
• DOI: 10.11250/chemotherapy1953.35.Supplement2_714

新しく開発された注射用単環性β-lactam抗生剤であるcarumonam (CRMN, AMA-1080) を尿路性器感染症患者に使用し, その臨床効果を中心に検討した。対象は, 急性単純性腎孟腎炎患者2例, 慢性複雑性尿路感染症患者23例および急性副睾丸炎患者1例の計26例であった。投薬方法は1回1gを1日2回静注した。効果の判定は, 尿路感染症はUTI薬効評価基準に準じて, 副睾丸炎は臨床症状の推移より, いずれも5日間投薬終了後に行った。急性単純性腎孟腎炎患者2例の総合臨床効果は, 2例とも有効で有効率100%であった。慢性複雑性尿路感染症患者23例の総合臨床効果は, 著効3例, 有効11例, 無効9例であり, 有効率60.9%であった。急性副睾丸炎患者1例の総合臨床効果は著効であった。慢性複雑性尿路感染症23例の細菌学的検討では, 投薬前尿中より18菌種47株が分離され, それらのうち40株が投薬後陰性化し, 細菌消失率は85.1%であった。投薬後出現菌は11菌種21株が認められ, そのうちグラム陽性球菌が14株 (66.8%) を占めた。自他覚的副作用では1例に下痢が認められ, 臨床検査成績では1例にGOT, GPTおよびアルカリフォスファターゼ値の一過性の軽度上昇が認められた。