画像診断のための放射性標識の進歩

核医学の画像診断では, 形態的なimagingに代わって, 局所機能のimagingが行われるようになっており, それにはさらに, 定量性が要求されてきている. 近年の核医学の進歩は, 高性能の描出機器と優れた放射性医薬品の開発に負うところが大きい. このような新しい放射性医薬品は, 生理学, 生化学などの根拠に基づいて, 標的組織に対するより高い特異性を持つようデザインされている. 目的とする組織に対する特異性の高い集積機構として, エネルギー代謝, receptorへの結合, 抗原抗体反応などの生物現象が利用されている. 代謝基質, receptor結合物質, 抗体の標識を中心に, 画像診...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 12; no. 4; pp. 310 - 312
Main Authors 古川高子, 福永仁夫, 大塚信昭, 森田陸司, 西下創一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1986
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Summary:核医学の画像診断では, 形態的なimagingに代わって, 局所機能のimagingが行われるようになっており, それにはさらに, 定量性が要求されてきている. 近年の核医学の進歩は, 高性能の描出機器と優れた放射性医薬品の開発に負うところが大きい. このような新しい放射性医薬品は, 生理学, 生化学などの根拠に基づいて, 標的組織に対するより高い特異性を持つようデザインされている. 目的とする組織に対する特異性の高い集積機構として, エネルギー代謝, receptorへの結合, 抗原抗体反応などの生物現象が利用されている. 代謝基質, receptor結合物質, 抗体の標識を中心に, 画像診断のための放射性医薬品の現況と将来について展望を加えた. 1. はじめに 放射性同位元素(RI)によって標識された物質を生体内に投与し, その体内挙動を放射能の計測により外部から捉える画像診断は, シンチグラフィとして従来から広く行われている. この目的に用いられる放射性標識化合物はin vivo放射性医薬品(in vivo radiopharmaceuticals)と呼ばれており, 情報を伝えるRIとしての性状と共に, 目的部位に集積する薬剤として, in vivoの使用に適した性質が要求される.
ISSN:0386-5924
DOI:10.11482/kmj-j12(4)310