腹壁瘢痕ヘルニア-自験29例の検討

1)過去10年間で経験した腹壁瘢痕ヘルニアは29例である. 男性13例, 女性16例と女性が多かった. 2)初発例19例, 再発例10例であり, 再発例は女性に多かった. 3)原疾患手術時年令は, 男性50.4±15.9歳, 女性37.0±17.5歳であり, 30歳台が多かった. 4)原疾患手術後合併症として創部感染, 咳嗽がみられた. 5)下腹部交差切開のヘルニアは, 非還納性ヘルニアであることが多かった. 6)再発手術例4例を含む10例にテフロンメッシュを用いて補綴閉鎖を行い, 良好な術後結果を得た.「はじめに」開腹術後の腹壁瘢痕ヘルニアは, 術前, 術中, 術後における術者および患者個々...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in川崎医学会誌 Vol. 10; no. 2; pp. 212 - 217
Main Authors 今井博之, 木元正利, 長野秀樹, 佐々木義仁, 清水裕英, 瀬尾泰雄, 岩本末治, 林秀宣, 牟礼勉, 山本尚, 山本康久, 佐野開三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1984
Online AccessGet full text
ISSN0386-5924
DOI10.11482/kmj-j10(2)212

Cover

Abstract 1)過去10年間で経験した腹壁瘢痕ヘルニアは29例である. 男性13例, 女性16例と女性が多かった. 2)初発例19例, 再発例10例であり, 再発例は女性に多かった. 3)原疾患手術時年令は, 男性50.4±15.9歳, 女性37.0±17.5歳であり, 30歳台が多かった. 4)原疾患手術後合併症として創部感染, 咳嗽がみられた. 5)下腹部交差切開のヘルニアは, 非還納性ヘルニアであることが多かった. 6)再発手術例4例を含む10例にテフロンメッシュを用いて補綴閉鎖を行い, 良好な術後結果を得た.「はじめに」開腹術後の腹壁瘢痕ヘルニアは, 術前, 術中, 術後における術者および患者個々の条件が, 複雑に影響しあって発生する腹部手術の合併症の一つである. 術後長期にわたって, 患者に何らかの不安や時には苦痛を与える状態にもかかわらず, 致命的疾患ではないためか, 一般にはとかく軽視されがちである. 過去10年間に当科で経験した腹壁瘢痕ヘルニア29症例における術前の背景や手術法について検討し, なお文献的考察をも加えて報告する. 症例の検討 昭和48年12月より昭和58年10月までの10年間に, 当科で経験した腹壁瘢痕ヘルニアは29例で, 男性13例, 女性16例と, 女性が多く男女比は1:1.4である. 瘢痕ヘルニアに対する根治手術が, 当科で初めて施行された症例を初発例, 以前他の施設で手術を受けたが再発のため当科で再手術したものを再発例とすると, 初発は19例, 再発は10例である.
AbstractList 1)過去10年間で経験した腹壁瘢痕ヘルニアは29例である. 男性13例, 女性16例と女性が多かった. 2)初発例19例, 再発例10例であり, 再発例は女性に多かった. 3)原疾患手術時年令は, 男性50.4±15.9歳, 女性37.0±17.5歳であり, 30歳台が多かった. 4)原疾患手術後合併症として創部感染, 咳嗽がみられた. 5)下腹部交差切開のヘルニアは, 非還納性ヘルニアであることが多かった. 6)再発手術例4例を含む10例にテフロンメッシュを用いて補綴閉鎖を行い, 良好な術後結果を得た.「はじめに」開腹術後の腹壁瘢痕ヘルニアは, 術前, 術中, 術後における術者および患者個々の条件が, 複雑に影響しあって発生する腹部手術の合併症の一つである. 術後長期にわたって, 患者に何らかの不安や時には苦痛を与える状態にもかかわらず, 致命的疾患ではないためか, 一般にはとかく軽視されがちである. 過去10年間に当科で経験した腹壁瘢痕ヘルニア29症例における術前の背景や手術法について検討し, なお文献的考察をも加えて報告する. 症例の検討 昭和48年12月より昭和58年10月までの10年間に, 当科で経験した腹壁瘢痕ヘルニアは29例で, 男性13例, 女性16例と, 女性が多く男女比は1:1.4である. 瘢痕ヘルニアに対する根治手術が, 当科で初めて施行された症例を初発例, 以前他の施設で手術を受けたが再発のため当科で再手術したものを再発例とすると, 初発は19例, 再発は10例である.
Author 牟礼勉
清水裕英
木元正利
長野秀樹
瀬尾泰雄
佐々木義仁
山本尚
林秀宣
岩本末治
山本康久
今井博之
佐野開三
Author_xml – sequence: 1
  fullname: 今井博之
– sequence: 2
  fullname: 木元正利
– sequence: 3
  fullname: 長野秀樹
– sequence: 4
  fullname: 佐々木義仁
– sequence: 5
  fullname: 清水裕英
– sequence: 6
  fullname: 瀬尾泰雄
– sequence: 7
  fullname: 岩本末治
– sequence: 8
  fullname: 林秀宣
– sequence: 9
  fullname: 牟礼勉
– sequence: 10
  fullname: 山本尚
– sequence: 11
  fullname: 山本康久
– sequence: 12
  fullname: 佐野開三
BookMark eNotjzFLw0AYhm-oYK1d_Q06RL_vy93lMkrRKhRcdA53lwskTVMwiHMt4lBwEWkHp-pQFNxd_DNRW_-FEV3eZ3sfng3WKIaFY2wLYReRK9rrDzIvQ9imHUJqsCb4SnoiJL7O2mWZGgAUvlCBbDJvdf32-ThazubL6X01nlXjl2o8qa7m3urm-XtxR-HH-6QavX49PawWt5tsLdF56dr_bLGzw4PTzpHXO-ked_Z7tTVU6KEEGVpOMXBDQgfaGOSWhImdibkCKazRiQWnEhf4Rghlw8BIHVhulMTEb7Hu3-_AxanV-bDI08JF2fDivKi9kXXU15e6jGodj-ocAIoAMYI6-HcCBIlI5P8AMblcgw
ContentType Journal Article
CorporateAuthor 川崎医科大学 消化器外科
CorporateAuthor_xml – name: 川崎医科大学 消化器外科
DOI 10.11482/kmj-j10(2)212
DatabaseTitleList
DeliveryMethod fulltext_linktorsrc
Discipline Medicine
EndPage 217
ExternalDocumentID ce2kawas_1984_001002_011_0212_02171061122
GroupedDBID ABDBF
ACUHS
ALMA_UNASSIGNED_HOLDINGS
OK1
ID FETCH-LOGICAL-j1981-16069c42d04b25a7abb14c25bdebd48065cbafc0e8fe73b558c97b6a7c4b861f3
ISSN 0386-5924
IngestDate Thu Jul 10 16:15:11 EDT 2025
IsDoiOpenAccess false
IsOpenAccess true
IsPeerReviewed false
IsScholarly true
Issue 2
Language Japanese
LinkModel OpenURL
MergedId FETCHMERGED-LOGICAL-j1981-16069c42d04b25a7abb14c25bdebd48065cbafc0e8fe73b558c97b6a7c4b861f3
OpenAccessLink https://kwmed.repo.nii.ac.jp/records/2426
PageCount 6
ParticipantIDs medicalonline_journals_ce2kawas_1984_001002_011_0212_02171061122
PublicationCentury 1900
PublicationDate 19840000
PublicationDateYYYYMMDD 1984-01-01
PublicationDate_xml – year: 1984
  text: 19840000
PublicationDecade 1980
PublicationTitle 川崎医学会誌
PublicationYear 1984
Publisher 川崎医学会
Publisher_xml – name: 川崎医学会
SSID ssib001535876
ssj0002179735
ssib000871988
ssib058493446
ssib023159738
ssib050734642
ssib022575364
Score 1.2904335
Snippet 1)過去10年間で経験した腹壁瘢痕ヘルニアは29例である. 男性13例, 女性16例と女性が多かった. 2)初発例19例, 再発例10例であり, 再発例は女性に多かった. 3)原疾患手術時年令は, 男性50.4±15.9歳, 女性37.0±17.5歳であり, 30歳台が多かった....
SourceID medicalonline
SourceType Publisher
StartPage 212
Title 腹壁瘢痕ヘルニア-自験29例の検討
URI http://mol.medicalonline.jp/library/journal/download?GoodsID=ce2kawas/1984/001002/011&name=0212-0217j
Volume 10
hasFullText 1
inHoldings 1
isFullTextHit
isPrint
link http://utb.summon.serialssolutions.com/2.0.0/link/0/eLvHCXMwpV1LaxRBEB5iBBFEfOKbHGzQw-hMTz9v9uyOBGE9JZDbMj2PQ0ISMBsED0JcxEPAi4g5eIoegoJ3L_6ZVbP-C6t6Zndm0UOisDS1PTU1VV073V_1Vnd73m2VyUKlufXDMBM-K6LQt7kofZHTUgtV2IDh2uHeY7G4zB6t8JW5E6aVtbQ9sPeyZ39dV_IvXoU68Cuukj2GZ6dCoQJo8C-U4GEoj-RjkiiiOIk1STgxEaBCkkiiFTHUEfDhJIH6CCsrwsQ1oSqCArPvBEliDEk0MYoA3AKZjMTJhC0kJiGJIIYR3UF24FJJG9qiDjE8sesIgKgJEqpD4tip1yVGOJkdoo2TYODqxOHuSkyUcYRxisPdXcfL0EQVN7wClQANkIWjMahZF5sAa0C0bng1ygLFgAATUSswVGKGB96kQPSMDvDEwFkcoOjmSRIbw-iJnmEzXRJq1UyUHqsVWr1wpITPdbXQezpkBK1Xg870_7QFJWi1LPXPUYop3PZ2bX3VXw0DiCTgm57eOrP7d1bQtfRputVHWzABEUawPvTJfdyaHwuJMX1IAYWcpFKGmNXae560EJ4M2zvSwQDHVYNAoTeHeLWJmAHtQ4TZdMkQLURMsCkCBriqo8kMAoIdUAD4XaLwpKHqrVHRyPu1iXfoXYpnvp5Zr_59rHaBaQG5pXPe2ToCWzDV63Tem1tNL3inenWOyUXPH7_8-uPDzuHe_uG7t6Ph3mj4eTTcHb3Y98evPv06eEP192-7o50vPz--Hx-8vuQtP0yWOot-fagI6KEVHooeCJ0xmgfMUp7K1NqQZZTbvLA5wzSDzKZlFhSqLGRkOVeZllakMmNWibCMLnvzG5sbxRVvQUBsXoCgLFWAg8vABikHyQDJobZk_Kr3YMbeft11bPWP7NVr_y_iuncaWappwxve_ODJdnETgPTA3nI_ld-f2JHu
linkProvider ISSN International Centre
openUrl ctx_ver=Z39.88-2004&ctx_enc=info%3Aofi%2Fenc%3AUTF-8&rfr_id=info%3Asid%2Fsummon.serialssolutions.com&rft_val_fmt=info%3Aofi%2Ffmt%3Akev%3Amtx%3Ajournal&rft.genre=article&rft.atitle=%E8%85%B9%E5%A3%81%E7%98%A2%E7%97%95%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%82%A2-%E8%87%AA%E9%A8%9329%E4%BE%8B%E3%81%AE%E6%A4%9C%E8%A8%8E&rft.jtitle=%E5%B7%9D%E5%B4%8E%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E4%BC%9A%E8%AA%8C&rft.au=%E4%BB%8A%E4%BA%95%E5%8D%9A%E4%B9%8B&rft.au=%E6%9C%A8%E5%85%83%E6%AD%A3%E5%88%A9&rft.au=%E9%95%B7%E9%87%8E%E7%A7%80%E6%A8%B9&rft.au=%E4%BD%90%E3%80%85%E6%9C%A8%E7%BE%A9%E4%BB%81&rft.date=1984&rft.pub=%E5%B7%9D%E5%B4%8E%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E4%BC%9A&rft.issn=0386-5924&rft.volume=10&rft.issue=2&rft.spage=212&rft.epage=217&rft_id=info:doi/10.11482%2Fkmj-j10%282%29212&rft.externalDocID=ce2kawas_1984_001002_011_0212_02171061122
thumbnail_l http://covers-cdn.summon.serialssolutions.com/index.aspx?isbn=/lc.gif&issn=0386-5924&client=summon
thumbnail_m http://covers-cdn.summon.serialssolutions.com/index.aspx?isbn=/mc.gif&issn=0386-5924&client=summon
thumbnail_s http://covers-cdn.summon.serialssolutions.com/index.aspx?isbn=/sc.gif&issn=0386-5924&client=summon