Primitive callosal veinを還流静脈とする脳動静脈奇形の1例

症例は6歳の男児で, 某院で肺動静脈奇形 (肺AVM) と脳AVMとの診断をうけ, 肺AVMの手術をうけた.今回, 脳AVMの治療のために紹介され入院となった.母親にも脳AVMの既往がみられた.皮膚・粘膜に血管異常はみられず, 神経学的異常も認めなかった.脳血管撮影では, 左前大脳動脈のmiddle internal frontal arteryから直接にaneurysmal dilatationとして大きな造影剤のpoolingが認められ, それより後方へ脳梁に沿い走行する静脈に還流していた.この還流静脈は胎生期のprimitive callosal veinに一致しており, AVMが存在す...

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Published in脳卒中 Vol. 14; no. 3; pp. 320 - 325
Main Authors 古和田, 正悦, 戸村, 則昭, 坂本, 哲也, 須田, 良孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1992
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.14.320

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Summary:症例は6歳の男児で, 某院で肺動静脈奇形 (肺AVM) と脳AVMとの診断をうけ, 肺AVMの手術をうけた.今回, 脳AVMの治療のために紹介され入院となった.母親にも脳AVMの既往がみられた.皮膚・粘膜に血管異常はみられず, 神経学的異常も認めなかった.脳血管撮影では, 左前大脳動脈のmiddle internal frontal arteryから直接にaneurysmal dilatationとして大きな造影剤のpoolingが認められ, それより後方へ脳梁に沿い走行する静脈に還流していた.この還流静脈は胎生期のprimitive callosal veinに一致しており, AVMが存在するために生後も残存したものと考えられた.このaneurysmal dilatationの近傍と, それとは離れた2ヵ所にも小さなAVMがみられた.手術は, このaneurysmal dilatationの結紮とその近傍のnidusの凝固を行った.本例ではRendu-OslerWeber病が強く疑われた.本例での胎生期静脈の遺残は, AVMが胎生期にすでに存在していたことを示していた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.14.320