気胸手術で発見された嚢胞内カンジダ感染の1例

気胸手術で発見された嚢胞内カンジダ感染の1例を経験した.症例は18歳, 男性.平成11年10月, 左自然気胸を発症したが経過観察にて軽快した.同年11月咳嗽および左前胸部痛が出現し胸部X線検査にて再発と診断した.虚脱度は26%, 胸部CT検査にて左肺尖部に嚢胞性病変を認めた.治療は胸腔鏡下に左肺尖部および下葉S6の嚢胞性病変を切除した.摘出病変はブレブで, ブレブ壁の一部に肉芽形成を認め, 多数の多核巨細胞の出現とともにカンジダ菌糸が認められた. カンジダ症は宿主の感染防御能が低下したときに発症する, いわゆる日和見感染症である.本症例は基礎疾患を有さず, カンジダ感染を疑わせる所見も認めてい...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 15; no. 4; pp. 485 - 489
Main Authors 末久, 弘, 辻, 和宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.05.2001
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.15.485

Cover

More Information
Summary:気胸手術で発見された嚢胞内カンジダ感染の1例を経験した.症例は18歳, 男性.平成11年10月, 左自然気胸を発症したが経過観察にて軽快した.同年11月咳嗽および左前胸部痛が出現し胸部X線検査にて再発と診断した.虚脱度は26%, 胸部CT検査にて左肺尖部に嚢胞性病変を認めた.治療は胸腔鏡下に左肺尖部および下葉S6の嚢胞性病変を切除した.摘出病変はブレブで, ブレブ壁の一部に肉芽形成を認め, 多数の多核巨細胞の出現とともにカンジダ菌糸が認められた. カンジダ症は宿主の感染防御能が低下したときに発症する, いわゆる日和見感染症である.本症例は基礎疾患を有さず, カンジダ感染を疑わせる所見も認めていないため, 経気道的に侵入したカンジダがブレブ内で増殖したものと思われるが, 気胸発症とカンジダ感染との因果関係は不明であった.近年原発性肺真菌症の増加の指摘もあり, カンジダ症も含め原発性肺真菌症を念頭に置いた診断・治療が必要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.15.485