共働時の個人間影響量が作業への自我関与の持続性に及ぼす効果

共働作業遂行中の個人間影響量が, 作業終了後における作業への自我関与の持続性に及ぼす効果を, 実験的に検討した。4名のアルバイターが, 2人1組で, パートナーを順次変えながら作業を行なった。作業内容は, JR大阪環状線に乗車し, 予め指定された5つの地点のうち最も「大阪らしい」風景を評定することであった。各パートナーとの共働の前後において各アルバイターの各地点に対する個人的選好を測定した。あるパートナーとの共働作業をはさんでの選好変化量を, パートナーからの影響量とみた。また, アルバイト終了後, 2週間にわたって, 監督者からの依頼事項の実行度を追跡し, 作業への自我関与の持続性を測定した...

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Published in実験社会心理学研究 Vol. 30; no. 2; pp. 155 - 163
Main Authors 杉万, 俊夫, 渥美, 公秀
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本グループ・ダイナミックス学会 1990
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ISSN0387-7973
1348-6276
DOI10.2130/jjesp.30.155

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Summary:共働作業遂行中の個人間影響量が, 作業終了後における作業への自我関与の持続性に及ぼす効果を, 実験的に検討した。4名のアルバイターが, 2人1組で, パートナーを順次変えながら作業を行なった。作業内容は, JR大阪環状線に乗車し, 予め指定された5つの地点のうち最も「大阪らしい」風景を評定することであった。各パートナーとの共働の前後において各アルバイターの各地点に対する個人的選好を測定した。あるパートナーとの共働作業をはさんでの選好変化量を, パートナーからの影響量とみた。また, アルバイト終了後, 2週間にわたって, 監督者からの依頼事項の実行度を追跡し, 作業への自我関与の持続性を測定した。実験の結果, アルバイト当日の個人間影響量は, その後2週間にわたる監督者からの依頼事項の実行度と強い関係を有することが見出された。すなわち, 自分以外の3名に対する影響量が大きかったほど, また, 自分以外の3名から受けた影響量 (被影響量) が大きかったほど, 作業への自我関与の持続性も大きい傾向があった。さらに, 自我関与の持続性に対して最も説明力のあった変数は, 影響量と被影響量を加算したものであることも明らかになった。この実験結果が, 新しい「グループ」概念に対してもつ示唆を考察した。
ISSN:0387-7973
1348-6276
DOI:10.2130/jjesp.30.155