モノクローナル抗体を用いた催胆汁うっ滞因子の免疫組織学的検討

肝内胆汁うっ滞を誘導するリンホカインである催胆汁うっ滞因子(cholestatic factor,CF)の肝内局在を確めるために結核死菌感作モルモットのリンパ節由来のCFに対するモノクローナル抗体を使用して各種肝疾患患者31例の生検肝組織に対してABC法にて免疫組織学的検討を行なった.その結果,組織内CFは31例中11例に陽性で,その内訳は薬剤性肝障害5例,急性肝炎2例,アルコール性肝障害3例,自己免疫性肝炎1例であつた.組織内CFはこれら陽性例にいずれも肝細胞質にびまん性に顆粒状に染色された.陽性例11例はすべて経過中に黄疸を呈するか黄疸の既往が認められたが,原発性胆汁性肝硬変の黄疸例や肝外...

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Published in肝臓 Vol. 28; no. 8; pp. 1107 - 1114
Main Authors 山田, 昇司, 新井, 孝之, 深町, 勇, 阪上, 吉秀, 竹原, 健, 小林, 節雄, 溝口, 靖紘, 名倉, 宏, 森沢, 成司, 山本, 祐夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1987
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.28.1107

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Summary:肝内胆汁うっ滞を誘導するリンホカインである催胆汁うっ滞因子(cholestatic factor,CF)の肝内局在を確めるために結核死菌感作モルモットのリンパ節由来のCFに対するモノクローナル抗体を使用して各種肝疾患患者31例の生検肝組織に対してABC法にて免疫組織学的検討を行なった.その結果,組織内CFは31例中11例に陽性で,その内訳は薬剤性肝障害5例,急性肝炎2例,アルコール性肝障害3例,自己免疫性肝炎1例であつた.組織内CFはこれら陽性例にいずれも肝細胞質にびまん性に顆粒状に染色された.陽性例11例はすべて経過中に黄疸を呈するか黄疸の既往が認められたが,原発性胆汁性肝硬変の黄疸例や肝外閉塞性黄疸では組織内CFは陰性であり,黄疸を認めなかつた例でも組織内CFは陰性であった.以上の結果からCFは肝内胆汁うっ滞を伴う薬剤性肝障害,急性肝炎,アルコール性肝障害,自己免疫性肝炎に強く関与していることが示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.28.1107