選択的近位迷走神経切離術施行後17年目に発症した前庭部胃癌の1例

症例は59歳,男性. 1982年,十二指腸潰瘍のためSPVと胃十二指腸吻合術を受けた.しかし,術後も胸やけや悪心を繰り返すため, 1998年11月30日胃内視鏡検査を受けた.胃十二指腸吻合部の口側粘膜に陥凹性病変を認め,生検にてGroup Vと診断されたため同年12月8日当科に紹介された.精査で前庭部早期胃癌と診断し,同年12月21日手術を施行した.触診上腫瘍の局在は明らかでなく,胃切開による粘膜観察を要した.肉眼的にもIIc型早期胃癌であったため,幽門側胃切除術(D1+No.7)およびBillroth-II法による再建を行った.術後診断はT1, N0, M0, Stage I Aであり,病理...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 5; pp. 1184 - 1187
Main Authors 鳥羽, 昭三, 三好, 康敬, 村澤, 正甫, 岩坂, 尚仁, 坂東, 儀昭, 矢和田, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2002
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.63.1184

Cover

More Information
Summary:症例は59歳,男性. 1982年,十二指腸潰瘍のためSPVと胃十二指腸吻合術を受けた.しかし,術後も胸やけや悪心を繰り返すため, 1998年11月30日胃内視鏡検査を受けた.胃十二指腸吻合部の口側粘膜に陥凹性病変を認め,生検にてGroup Vと診断されたため同年12月8日当科に紹介された.精査で前庭部早期胃癌と診断し,同年12月21日手術を施行した.触診上腫瘍の局在は明らかでなく,胃切開による粘膜観察を要した.肉眼的にもIIc型早期胃癌であったため,幽門側胃切除術(D1+No.7)およびBillroth-II法による再建を行った.術後診断はT1, N0, M0, Stage I Aであり,病理組織学的には深達度smであった. 本邦における迷走神経切離術後患者の胃癌発生率は約0.12%であり,長期経過した症例では発症期待値が高いため,特に厳重な経過観察を要する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.1184