特異な経過をたどった腸結核の1例

高齢者の小腸結核を開腹切除し,術後症状の改善を得た症例を経験したので報告する.症例は75歳,女性.左下肢深部静脈血栓症の診断にて入院となった.入院後より悪寒,戦慄を伴う発熱をくり返した.尿路感染症が強く疑われたが,原因特定に難渋した.経過中,無痛性のイレウスをくり返し, CT, MRIにて小腸壁の肥厚を認めた.占拠性病変の存在を疑い,診査開腹術を施行した.回腸に紡錘形に腫大した腫瘤性病変を2箇所認め,回盲部を含め約80cm切除した.病理診断の結果,病変部は潰瘍を形成し小腸結核であった.術後に抗結核剤による化学療法施行し,経過は良好であった.その後,他院にて経過観察中に右片麻痺が出現し,会話も不...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 1188 - 1192
Main Authors 木原, 鴻洋, 永守, 郁夫, 松原, 純一, 上田, 善道, 武内, 克憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.1188

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Summary:高齢者の小腸結核を開腹切除し,術後症状の改善を得た症例を経験したので報告する.症例は75歳,女性.左下肢深部静脈血栓症の診断にて入院となった.入院後より悪寒,戦慄を伴う発熱をくり返した.尿路感染症が強く疑われたが,原因特定に難渋した.経過中,無痛性のイレウスをくり返し, CT, MRIにて小腸壁の肥厚を認めた.占拠性病変の存在を疑い,診査開腹術を施行した.回腸に紡錘形に腫大した腫瘤性病変を2箇所認め,回盲部を含め約80cm切除した.病理診断の結果,病変部は潰瘍を形成し小腸結核であった.術後に抗結核剤による化学療法施行し,経過は良好であった.その後,他院にて経過観察中に右片麻痺が出現し,会話も不自由になった.脳CTにて左頭頂葉に,浮腫を伴った造影される腫瘤像を2箇所認めた.開頭術施行され,病理診断にて脳結核と診断された.その後も化学療法を継続し,病態は改善した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.1188