術後腸重積を起こした,小腸間膜裂孔ヘルニアの1例

小腸間膜裂孔ヘルニア(以下,本症)は比較的稀な疾患で本邦報告例は約130例にすぎない.最近,術後腸重積を起こした本症の1例を経験したので報告する. 症例は14歳男性.手術歴.平成9年1月25日心窩部痛, 26日嘔吐・腰周囲痛出現し入院. 27日朝腹膜刺激症状にて緊急開腹.回腸末端より約80cmの小腸間膜に径4cmの裂孔を認め,回腸末端から約70cmの回腸が嵌頓していた.腸切除は施行せず,裂孔閉鎖のみ施行.術後5日目より食事開始,術後10日目腹部膨満感出現.小腸ニボー像を認めた.翌日のイレウス管造影にてTreitz靱帯より約10cm肛門側空腸に蟹の爪様の閉塞像を認め再開腹.腸管は前回手術創に癒着...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 5; pp. 1397 - 1400
Main Authors 菅原, 睦, 折居, 史佳, 浅川, 全一, 佐藤, 信司, 伊藤, 久美子, 菊地, 一公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.1998
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.1397

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Summary:小腸間膜裂孔ヘルニア(以下,本症)は比較的稀な疾患で本邦報告例は約130例にすぎない.最近,術後腸重積を起こした本症の1例を経験したので報告する. 症例は14歳男性.手術歴.平成9年1月25日心窩部痛, 26日嘔吐・腰周囲痛出現し入院. 27日朝腹膜刺激症状にて緊急開腹.回腸末端より約80cmの小腸間膜に径4cmの裂孔を認め,回腸末端から約70cmの回腸が嵌頓していた.腸切除は施行せず,裂孔閉鎖のみ施行.術後5日目より食事開始,術後10日目腹部膨満感出現.小腸ニボー像を認めた.翌日のイレウス管造影にてTreitz靱帯より約10cm肛門側空腸に蟹の爪様の閉塞像を認め再開腹.腸管は前回手術創に癒着していたが血行障害は認めず,腫重積は用手的に整復可能であった.術後経過は順調であった.本症は稀であるが急性腹症の際,常に念頭におく必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.1397