胃癌,大腸癌を合併した空腸gastrointestinal stromal tumorの1例

胃癌,大腸癌を合併した空腸GISTの1例を経験した.患者は87歳,男性.近医で早期胃癌と診断され,当院紹介入院となった.術前検査で小腸腫瘍,大腸癌の合併を認めた.術前経過中にDICを合併したため,過大侵襲を考慮し,早期である胃癌は二期的に手術することとし,小腸部分切除術,回盲部切除術のみ施行した.摘出標本で大腸癌は中分化腺癌であった.空腸腫瘍は管内管外性に増殖しており, HE染色で異型性に乏しい紡錘形腫瘍細胞が索状に増殖していた.免疫染色でc-kit (+), CD34 (+), S-100蛋白 (-) であり,狭義の良性GISTと診断した. GISTと消化器癌合併の本邦報告例は本例を含め14...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 7; pp. 1651 - 1655
Main Authors 石倉, 孝訓, 栗栖, 泰郎, 玉井, 伸幸, 豊田, 暢彦, 井上, 雅史, 岩永, 幸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.1651

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Summary:胃癌,大腸癌を合併した空腸GISTの1例を経験した.患者は87歳,男性.近医で早期胃癌と診断され,当院紹介入院となった.術前検査で小腸腫瘍,大腸癌の合併を認めた.術前経過中にDICを合併したため,過大侵襲を考慮し,早期である胃癌は二期的に手術することとし,小腸部分切除術,回盲部切除術のみ施行した.摘出標本で大腸癌は中分化腺癌であった.空腸腫瘍は管内管外性に増殖しており, HE染色で異型性に乏しい紡錘形腫瘍細胞が索状に増殖していた.免疫染色でc-kit (+), CD34 (+), S-100蛋白 (-) であり,狭義の良性GISTと診断した. GISTと消化器癌合併の本邦報告例は本例を含め14例で,死亡例は3例であった. GISTと合併癌の手術療法は良好な予後が期待できると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.1651