腸回転異常を併存した小網裂孔ヘルニア
症例は, 76歳,女性.腹痛と腹部膨満感を主訴に受診した.腹部単純X線検査,腹部CT検査で右上腹部に著明な小腸および大腸のガス像と盲腸および上行結腸の拡張を認めた.血液検査でCEAの上昇を認めたことより,大腸癌イレウスを第一に疑った.腹痛が強く,腹部膨満が著明で,ただちに腸管の減圧が必要で緊急手術を施行した.手術所見では,盲腸は拡張し,反時計まわりに捻転していた.さらに検索すると,小網に5cm大の裂孔を認めた.大腸は後腹膜に固定されておらず,胃結腸間膜は欠損し,胃の背側より小網裂孔を通り,ほぼすべての小腸と横行結腸中央までの大腸が脱出していた.脱出腸管を整復し,異常裂孔を縫合閉鎖した.さらに,...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 7; pp. 1695 - 1698 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.07.2006
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.67.1695 |
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Summary: | 症例は, 76歳,女性.腹痛と腹部膨満感を主訴に受診した.腹部単純X線検査,腹部CT検査で右上腹部に著明な小腸および大腸のガス像と盲腸および上行結腸の拡張を認めた.血液検査でCEAの上昇を認めたことより,大腸癌イレウスを第一に疑った.腹痛が強く,腹部膨満が著明で,ただちに腸管の減圧が必要で緊急手術を施行した.手術所見では,盲腸は拡張し,反時計まわりに捻転していた.さらに検索すると,小網に5cm大の裂孔を認めた.大腸は後腹膜に固定されておらず,胃結腸間膜は欠損し,胃の背側より小網裂孔を通り,ほぼすべての小腸と横行結腸中央までの大腸が脱出していた.脱出腸管を整復し,異常裂孔を縫合閉鎖した.さらに,横行結腸の中央に腫瘍を認め,部分切除し双孔式ストーマとした.小網裂孔ヘルニアは非常に稀な疾患で,本症例のように腸回転異常を併存した例は報告されていない. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.67.1695 |