腸閉塞症で発症し予後不良であった盲腸内分泌細胞癌の1例

症例は84歳,女性.腹部膨満感を主訴に当院内科を受診,腸閉塞症の診断にて緊急入院した.腹部超音波, CTにて肝臓に大小多数の腫瘍性病変と盲腸に腫瘤像を認め,盲腸癌による腸閉塞症および多発性肝転移を疑った.全身状態を考慮し,消化管の通過障害を改善することを目的として回盲部切除術を行った.切除標本の病理組織学的所見では,核異型・核分裂像に富む多角形の腫瘍細胞が胞巣状・充実性に浸潤増殖し,腫瘍細胞の索状の配列,ロゼット様構造も多数認められた.さらにGrimelius染色,神経内分泌マーカーによる免疫染色にて陽性反応を認め,自験例を盲腸内分泌細胞癌と診断した.大腸内分泌細胞癌は,急速に発育して早期から...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 7; pp. 1670 - 1674
Main Authors 辻, 和宏, 池田, 宏国, 平川, 栄一郎, 斉藤, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.1670

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Summary:症例は84歳,女性.腹部膨満感を主訴に当院内科を受診,腸閉塞症の診断にて緊急入院した.腹部超音波, CTにて肝臓に大小多数の腫瘍性病変と盲腸に腫瘤像を認め,盲腸癌による腸閉塞症および多発性肝転移を疑った.全身状態を考慮し,消化管の通過障害を改善することを目的として回盲部切除術を行った.切除標本の病理組織学的所見では,核異型・核分裂像に富む多角形の腫瘍細胞が胞巣状・充実性に浸潤増殖し,腫瘍細胞の索状の配列,ロゼット様構造も多数認められた.さらにGrimelius染色,神経内分泌マーカーによる免疫染色にて陽性反応を認め,自験例を盲腸内分泌細胞癌と診断した.大腸内分泌細胞癌は,急速に発育して早期から脈管侵襲と転移をきたす予後不良の高悪性度癌である.発生経路についても不明な点が多く,現在でも,治療法は確立されていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.1670