骨・軟骨化生を伴う乳癌の1例

症例は43歳,女性.右乳房AC領域の無痛性腫瘤を自覚し初診.触診, US, MMG所見よりT1aN0M0Stage Iの右乳癌と診断し手術を施行した.腫瘍を生検し,迅速診断にて浸潤性腺癌との確診を得た後, Bq+Axを行った.しかし,病理組織標本より乳頭側切除断端で乳管内進展巣が陽性であったため, 10日後, Btを追加施行した.肉眼割面状,腫瘤は15×10mm大,灰白色の充実性腫瘍であり,組織学的には,腫瘍細胞は充実性に索状の胞巣を形成し,その中心に軟骨化生部を有し,これらの間には連続した移行像を認めた.腺癌部では充実腺管癌成分が優位であった. n0, ly0, v0, EIC (+), E...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 5; pp. 1159 - 1163
Main Authors 鈴木, 規之, 三浦, 大周, 中澤, 英樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.1159

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Summary:症例は43歳,女性.右乳房AC領域の無痛性腫瘤を自覚し初診.触診, US, MMG所見よりT1aN0M0Stage Iの右乳癌と診断し手術を施行した.腫瘍を生検し,迅速診断にて浸潤性腺癌との確診を得た後, Bq+Axを行った.しかし,病理組織標本より乳頭側切除断端で乳管内進展巣が陽性であったため, 10日後, Btを追加施行した.肉眼割面状,腫瘤は15×10mm大,灰白色の充実性腫瘍であり,組織学的には,腫瘍細胞は充実性に索状の胞巣を形成し,その中心に軟骨化生部を有し,これらの間には連続した移行像を認めた.腺癌部では充実腺管癌成分が優位であった. n0, ly0, v0, EIC (+), ER, PGRはともに陰性であった.骨・軟骨化生を伴う乳癌は浸潤癌の特殊型に属し,その発生頻度はきわめて稀であり,本邦での報告は60症例程度である.これらをあわせ,臨床的特徴,予後因子を検討し報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.1159