頻回の再発巣切除後長期生存しているS状結腸原発gastrointestinal stromal tumorの1例

今回われわれは繰り返す再発に対して外科的切除し得たS状結腸原発gastrointestinal stromal tumor (以下GISTと略す)の1例を経験したので報告する.症例は55歳男性,左下腹部に腫瘤を自覚して近医を受診.腹部CT, MRIで腎下極から骨盤腔に及ぶ腫瘍を認めた.血管造影では,下腸間膜動脈の狭窄および圧排を認めた.エコーガイド下生検で平滑筋肉腫と診断され,原発巣は小腸あるいはS状結腸と考え手術を施行した.開腹時には巨大な腫瘍がS状結腸および空腸と強固に癒着し,大網と脾臓に播種性転移巣を認めた. S状結腸,空腸を含めて切除し,大網部転移巣の摘出と脾摘を加えた.摘出標本の病理...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 9; pp. 2408 - 2413
Main Authors 辰巳, 満俊, 中野, 博重, 久永, 倫聖, 藤井, 久男, 武内, 拓, 中島, 祥介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.2408

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Summary:今回われわれは繰り返す再発に対して外科的切除し得たS状結腸原発gastrointestinal stromal tumor (以下GISTと略す)の1例を経験したので報告する.症例は55歳男性,左下腹部に腫瘤を自覚して近医を受診.腹部CT, MRIで腎下極から骨盤腔に及ぶ腫瘍を認めた.血管造影では,下腸間膜動脈の狭窄および圧排を認めた.エコーガイド下生検で平滑筋肉腫と診断され,原発巣は小腸あるいはS状結腸と考え手術を施行した.開腹時には巨大な腫瘍がS状結腸および空腸と強固に癒着し,大網と脾臓に播種性転移巣を認めた. S状結腸,空腸を含めて切除し,大網部転移巣の摘出と脾摘を加えた.摘出標本の病理組織学的所見,免疫染色においてS状結腸原発のGISTと診断された.以後3年9カ月を経過した現在まで5回の再発を認め,計6回の外科的切除を施行し無再発生存中である.本症例は,病理組織学的にも悪性度が高く,現在も厳重にfollow upを行っている.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.2408