胃切除後の骨塩量低下とその対策-menatetrenone投与の経験

胃切除術後の骨障害に対する治療方針を決定する目的で,術後6年経過した24症例について, QCT法による骨塩量の変化を検討した.手術時140.52±63.87mg/cm3であった骨塩量は, 108.00±83.38mg/cm3へと有意に減少し,年齢別標準値に対する率も, 139.64±55.11%から119.60±86.46%へと有意に低下していた.閉経の影響を除いた男性15例でも減少しており,このうち5例には3年以上にわたってalfacalcidol (Vitamine D)が投与されていた. menatetrenone (Vitamine K2)を投与した男性9例について骨代謝マーカーの推移...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 5; pp. 1107 - 1113
Main Authors 加瀬, 肇, 鷲澤, 尚宏, 石井, 紀行, 佐藤, 行彦, 菊池, 誠, 戸倉, 夏木, 河野, 明彦, 小林, 一雄, 小川, 勝, 松本, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.1107

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Summary:胃切除術後の骨障害に対する治療方針を決定する目的で,術後6年経過した24症例について, QCT法による骨塩量の変化を検討した.手術時140.52±63.87mg/cm3であった骨塩量は, 108.00±83.38mg/cm3へと有意に減少し,年齢別標準値に対する率も, 139.64±55.11%から119.60±86.46%へと有意に低下していた.閉経の影響を除いた男性15例でも減少しており,このうち5例には3年以上にわたってalfacalcidol (Vitamine D)が投与されていた. menatetrenone (Vitamine K2)を投与した男性9例について骨代謝マーカーの推移を観察したところ,尿中pyridinolin,尿中deoxypyridinolinは一時上昇後,徐々に下降する傾向を示し,血中osteocalcinは徐々に低下した.投与後に骨塩量は増加し,腰痛などの愁訴は消失した.したがって, menatetrenoneは胃切除後の骨障害に対して有効である可能性が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.1107