術前に診断し腹腔鏡下に治療した子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例

子宮広間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの中でも非常に稀な疾患である.今回われわれは術前CTにて診断し腹腔鏡下に治療しえた症例を経験したので報告する.症例は54歳,女性.左下腹部痛を主訴に近医受診後,当科紹介となった.腹部CTで子宮が右側へ偏位し,子宮の左背側に拡張した小腸ループを認め,この腸間膜が子宮左側へ収束していたため左子宮広間膜裂孔ヘルニアによる腸閉塞と診断して腹腔鏡下に手術を施行した.径2cmの裂孔をヘルニア門として腹側から背側へ約30cmの小腸が嵌頓していたが腸管切除を行うことなく,ヘルニア門を4-0モノフィラメント吸収糸にて縫合閉鎖した.本疾患を術前に診断し腹腔鏡下に治療した報告はない...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 8; pp. 2023 - 2027
Main Authors 北山, 卓, 佐藤, 俊, 植田, 貴徳, 篠田, 雅央, 高橋, 遍, 新谷, 史明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.2023

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Summary:子宮広間膜裂孔ヘルニアは内ヘルニアの中でも非常に稀な疾患である.今回われわれは術前CTにて診断し腹腔鏡下に治療しえた症例を経験したので報告する.症例は54歳,女性.左下腹部痛を主訴に近医受診後,当科紹介となった.腹部CTで子宮が右側へ偏位し,子宮の左背側に拡張した小腸ループを認め,この腸間膜が子宮左側へ収束していたため左子宮広間膜裂孔ヘルニアによる腸閉塞と診断して腹腔鏡下に手術を施行した.径2cmの裂孔をヘルニア門として腹側から背側へ約30cmの小腸が嵌頓していたが腸管切除を行うことなく,ヘルニア門を4-0モノフィラメント吸収糸にて縫合閉鎖した.本疾患を術前に診断し腹腔鏡下に治療した報告はないが,女性腸閉塞症例での鑑別診断の1つとして念頭に置けば, CTでの診断は比較的容易であり,そのほとんどが腹腔鏡下手術にて対応可能と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.2023