盲腸転移をきたした悪性胸膜中皮腫の1例

非常に稀な悪性胸膜中皮腫の盲腸転移を経験した.症例は75歳,男性で,主訴は右肩痛.胸部CT・気管支鏡検査で右S2を中心としたcT3 (胸壁浸潤) N1M0, III A期の大細胞癌または扁平上皮癌と診断され,手術を施行した.癌性胸膜炎のため根治手術は不可能で右肺上葉切除術・壁側胸膜切除術・縦隔リンパ節採取を行った.病理所見から,国際TNM分類上T4 (胸壁多発性腫瘍巣) N2 (同側縦隔リンパ節転移) M0,第IV病期の二相型の悪性胸膜中皮腫と診断された. 術後,残存腫瘍に60Gyの放射線治療を行った.第84病日に突然下血が出現,下部消化管内視鏡検査で盲腸に出血性の腫瘤を認め,内視鏡的に止血し...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 5; pp. 1139 - 1143
Main Authors 荒能, 義彦, 富田, 剛治, 野崎, 善成, 佐々木, 正寿, 清水, 淳三
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.05.2002
Subjects
悪性胸膜中皮腫
腸管転移
転移性大腸腫瘍
Online AccessGet full text

Cover

More Information
Summary:非常に稀な悪性胸膜中皮腫の盲腸転移を経験した.症例は75歳,男性で,主訴は右肩痛.胸部CT・気管支鏡検査で右S2を中心としたcT3 (胸壁浸潤) N1M0, III A期の大細胞癌または扁平上皮癌と診断され,手術を施行した.癌性胸膜炎のため根治手術は不可能で右肺上葉切除術・壁側胸膜切除術・縦隔リンパ節採取を行った.病理所見から,国際TNM分類上T4 (胸壁多発性腫瘍巣) N2 (同側縦隔リンパ節転移) M0,第IV病期の二相型の悪性胸膜中皮腫と診断された. 術後,残存腫瘍に60Gyの放射線治療を行った.第84病日に突然下血が出現,下部消化管内視鏡検査で盲腸に出血性の腫瘤を認め,内視鏡的に止血した.生検標本の病理組織学的検討から,悪性胸膜中皮腫の盲腸転移と診断した.経過中の下血に対しては,消化管転移の可能性も念頭におくべき必要があると思われる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.1139