CT診断が有用であった子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの1例

イレウスの原因として内ヘルニアは多くはないが,このなかでも非常に稀な子宮広間膜異常裂孔に生じた内ヘルニアを経験した.症例は77歳,女性で腹痛,嘔吐を主訴に入院した. CT検査にて拡張した小腸により右子宮広間膜が伸展・圧排され,子宮も左側に圧排されており,子宮広間膜異常裂孔ヘルニア嵌頓が強く疑われた.卵管結紮術の既往があり,癒着性イレウスも否定できず保存的加療開始したが,軽快せず子宮広間膜異常裂孔ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと判断し手術を施行した.開腹すると,右子宮広間膜異常裂孔に回腸末端から約240cm口側の回腸が約40cmにわたり嵌頓していた.嵌頓した小腸は壊死を来しており,子宮円索およ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 1; pp. 173 - 176
Main Authors 小島, 康知, 豊田, 和広, 中塚, 博文, 眞次, 康弘, 栗原, 毅, 石崎, 康代, 大城, 久司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.2000
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.173

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Summary:イレウスの原因として内ヘルニアは多くはないが,このなかでも非常に稀な子宮広間膜異常裂孔に生じた内ヘルニアを経験した.症例は77歳,女性で腹痛,嘔吐を主訴に入院した. CT検査にて拡張した小腸により右子宮広間膜が伸展・圧排され,子宮も左側に圧排されており,子宮広間膜異常裂孔ヘルニア嵌頓が強く疑われた.卵管結紮術の既往があり,癒着性イレウスも否定できず保存的加療開始したが,軽快せず子宮広間膜異常裂孔ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと判断し手術を施行した.開腹すると,右子宮広間膜異常裂孔に回腸末端から約240cm口側の回腸が約40cmにわたり嵌頓していた.嵌頓した小腸は壊死を来しており,子宮円索および子宮広間膜を切離し嵌頓を解除後壊死小腸を切除した.本疾患の術前診断は困難であるが,われわれの症例では術前CT検査が大変有用であった.原因のはっきりしないイレウスに対してはCT検査は重要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.173