肺癌肝転移の1切除例

肺癌の肝転移は,その予後が不良であることから通常手術適応とならない.今回われわれは,肺癌からの孤立性肝転移に対し肝切除を行った1例を経験したので報告する.症例は76歳,女性.喀血を主訴に近医受診し,胸部X線検査で右肺中葉に腫瘤陰影を指摘され当院紹介受診.気管支鏡検査による擦過細胞診で腺癌と診断された.腹部画像検査上肝S4に腫瘤陰影が認められ, T2N0M1 Stage IVの非小細胞肺癌の診断のもとcarboplatinおよびpaclitaxelによる抗癌化学療法が施行された.原発巣である肺癌は化学療法でコントロールされていたが,肝病変は増大傾向が認められたため肝腫瘍に対して拡大肝内側域切除術...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 4; pp. 913 - 916
Main Authors 寺村, 一裕, 大西, 律人, 若原, 智之, 加地, 政秀, 濱辺, 豊, 塚本, 忠司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.913

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Summary:肺癌の肝転移は,その予後が不良であることから通常手術適応とならない.今回われわれは,肺癌からの孤立性肝転移に対し肝切除を行った1例を経験したので報告する.症例は76歳,女性.喀血を主訴に近医受診し,胸部X線検査で右肺中葉に腫瘤陰影を指摘され当院紹介受診.気管支鏡検査による擦過細胞診で腺癌と診断された.腹部画像検査上肝S4に腫瘤陰影が認められ, T2N0M1 Stage IVの非小細胞肺癌の診断のもとcarboplatinおよびpaclitaxelによる抗癌化学療法が施行された.原発巣である肺癌は化学療法でコントロールされていたが,肝病変は増大傾向が認められたため肝腫瘍に対して拡大肝内側域切除術が施行された.切除標本の病理組織学的検査および免疫組織化学検査では肺癌からの肝転移と診断された.術後1年の現在,他に転移巣を認めず原発巣の切除も考慮にいれつつ経過観察中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.913