進行肝細胞癌に対する放射線治療

進行肝細胞癌(HCC)10例(Vp3を伴うHCC 4例,2~6個の多発HCC 6例)に対して総線量50Gy以上(53.0~64.8Gy)の放射線治療を試みた.このうち多発HCCでは当初TAEやPEITを行ったが再増殖し同治療が不能となった症例である.観察期間中に死亡し6例の照射後平均生存期間は18.2±12.3ヵ月であった.照射による腫瘍縮小率は10病変中9病変で11~73%であり,初期効果は不良であったが,最長30ヵ月までの観察期間において再増大したものはなく,後期まで縮小が緩徐ながら認められた.組織学的には,検索し得た6病変中4病変で大星・下里分類のgrade IIIないしIVの優れた照射...

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Published in肝臓 Vol. 33; no. 8; pp. 611 - 616
Main Authors 桜井, 幸弘, 伊藤, 慎芳, 多賀須, 幸男, 岡崎, 篤, 山口, 和克, 山崎, 忠男, 横山, 孝典, 池上, 文詔, 安部, 孝, 野ッ俣, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1992
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.33.611

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Summary:進行肝細胞癌(HCC)10例(Vp3を伴うHCC 4例,2~6個の多発HCC 6例)に対して総線量50Gy以上(53.0~64.8Gy)の放射線治療を試みた.このうち多発HCCでは当初TAEやPEITを行ったが再増殖し同治療が不能となった症例である.観察期間中に死亡し6例の照射後平均生存期間は18.2±12.3ヵ月であった.照射による腫瘍縮小率は10病変中9病変で11~73%であり,初期効果は不良であったが,最長30ヵ月までの観察期間において再増大したものはなく,後期まで縮小が緩徐ながら認められた.組織学的には,検索し得た6病変中4病変で大星・下里分類のgrade IIIないしIVの優れた照射効果が認められ,照射終了後の期間が長いほどgradeが進む傾向がみられた,また1例で照射により門脈本幹腫瘍塞栓の消失がみられた.さらに2例ではA-P shuntの消失がみられ,TAEの追加が可能となった.以上より進行HCCに対しても放射線治療は有用であると思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.33.611