術中血圧上昇に対するジルチアゼム投与

収縮期血圧が150mmHg以上に上昇した全身麻酔症例にジルチアゼムを投与した際の循環動態の変化,刺激伝導障害発生の有無,およびジルチアゼムの血中濃度の変化について検討した.症例は投与量により10mg bolus投与後2.5μg・kg-1・min-1持続投与のL群,bolus投与後5μg・kg-1・min-1持続投与のM群,bolus投与後10μg・kg-1・min-1持続投与のH群,の3群,各7例とした.ジルチアゼム投与により平均動脈圧は3群ともに低下したが3群間に差を認めなかった.刺激伝導障害はH群の3例に発生し,その際のジルチアゼム血中濃度はいずれも400ng・ml-1以上であった.伝導障...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 13; no. 6; pp. 515 - 523
Main Authors 木村, 健一, 高折, 益彦, 吉田, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 1993
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.13.515

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Summary:収縮期血圧が150mmHg以上に上昇した全身麻酔症例にジルチアゼムを投与した際の循環動態の変化,刺激伝導障害発生の有無,およびジルチアゼムの血中濃度の変化について検討した.症例は投与量により10mg bolus投与後2.5μg・kg-1・min-1持続投与のL群,bolus投与後5μg・kg-1・min-1持続投与のM群,bolus投与後10μg・kg-1・min-1持続投与のH群,の3群,各7例とした.ジルチアゼム投与により平均動脈圧は3群ともに低下したが3群間に差を認めなかった.刺激伝導障害はH群の3例に発生し,その際のジルチアゼム血中濃度はいずれも400ng・ml-1以上であった.伝導障害は硫酸アトロピン投与により軽快した.術中の高血圧に対してジルチアゼム10mg bolus投与後5μg・kg-1・min-1で持続投与を行なえば,頻脈を抑制するとともに有効な降圧が得られることが認められた.その際のジルチアゼム血中濃度は約200ng・ml-1に維持され,刺激伝導障害も生じず安全に使用できた.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.13.515