四塩化炭素急性肝障害ラットにおけるアルブミン遺伝子発現の調節機構

四塩化炭素(CCl4)投与による急性肝障害ラット肝臓におけるアルブミン遺伝子発現の調節機構を検討した.CCl4を腹腔内投与後,経時的に肝臓中のアルブミンmRNA量をNorthern blot法で測定すると,投与後6, 12, 24時間で,それぞれ対照の30, 18, 40%に低下していた.投与後12時間の時点で,単離肝細胞核におけるアルブミン遺伝子の転写速度は対照の50%であったことから,CCl4投与肝ではアルブミンmRNAの安定性も低下していることが示唆された.さらにアルブミン遺伝子の転写調節因子の活性をゲルシフトアッセイで検討したところ,CCl4投与後12時間で,肝臓組織特異因子であるHN...

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Published in肝臓 Vol. 36; no. 5; pp. 289 - 295
Main Authors 岡, 達三, 桑波田, 雅士, 加藤, 章信, 小原, 啓彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.05.1995
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.36.289

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Summary:四塩化炭素(CCl4)投与による急性肝障害ラット肝臓におけるアルブミン遺伝子発現の調節機構を検討した.CCl4を腹腔内投与後,経時的に肝臓中のアルブミンmRNA量をNorthern blot法で測定すると,投与後6, 12, 24時間で,それぞれ対照の30, 18, 40%に低下していた.投与後12時間の時点で,単離肝細胞核におけるアルブミン遺伝子の転写速度は対照の50%であったことから,CCl4投与肝ではアルブミンmRNAの安定性も低下していることが示唆された.さらにアルブミン遺伝子の転写調節因子の活性をゲルシフトアッセイで検討したところ,CCl4投与後12時間で,肝臓組織特異因子であるHNF1とC/EBPのDNAへの結合性が約50%に低下していることが見いだされた.また単離肝細胞核抽出物中のC/EBP濃度は,CCl4投与によって変化しないことが免疫学的に示された.以上の成績より,CCl4投与ラット肝臓におけるアルブミン遺伝子発現の低下はアルブミンmRNAの安定性の低下ならびに肝特異的転写調節因子の不活性化が関連していることが推定された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.36.289