肝切除モデルにおける細網内皮系機能測定法の基礎的検討

RES機能の診断に応用するために肝のシンチグラフィー用試薬99mTc-フチン酸を用いたRES機能総量の測定法について薬物動力学的解析による基礎的検討を行った.99mTc-フチン酸静注後の循環血中のγ線量の減衰はα相とβ相からなる二相性を示し,2-コンパートメントオープンモデルで解析された.β値は肝切除群や肝障害群そしてDIC群などに関係なくほぼ一定であった.そこで静注直後に出現する分布相(α相)の消失速度定数であるα値をもってRES機能総量の値とした.肝切除モデルの検討では,RES機能は肝切除後の残存肝容積に近似した変動を示した.またDICモデルや急性肝障害モデルにおけるRES機能は低下した....

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Published in肝臓 Vol. 29; no. 6; pp. 747 - 752
Main Authors 石川, 詔雄, 林, 正敏, 脇本, 佳代子, 深尾, 立, 辻, 勝久, 金尾, 義治, 清澤, 智晴, 岩崎, 洋治, 田中, 栄之介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1988
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.29.747

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Summary:RES機能の診断に応用するために肝のシンチグラフィー用試薬99mTc-フチン酸を用いたRES機能総量の測定法について薬物動力学的解析による基礎的検討を行った.99mTc-フチン酸静注後の循環血中のγ線量の減衰はα相とβ相からなる二相性を示し,2-コンパートメントオープンモデルで解析された.β値は肝切除群や肝障害群そしてDIC群などに関係なくほぼ一定であった.そこで静注直後に出現する分布相(α相)の消失速度定数であるα値をもってRES機能総量の値とした.肝切除モデルの検討では,RES機能は肝切除後の残存肝容積に近似した変動を示した.またDICモデルや急性肝障害モデルにおけるRES機能は低下した.また慢性肝障害モデルでは脾のフチン酸の取り込みは増加したが,全身のRES機能は低下した. 本測定法は,臨床例におけるRES機能の診断に応用可能と思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.29.747