術中自己血回収輸血装置の使用
大血管手術12例(腹部大動脈瘤8例, 胸部大動脈瘤4例)に術中自己血回収輸血装置を使用した。装置は吸引管, 吸引用ローラーポンプ, Cardiotomy reservoir, 送血用ローラーポンプ, からなり, 全身ヘパリン化を行ない, 吸引管の先端からヘパリン生食を滴下させる局所ヘパリン化も併用した。吸引量が過量になった場合には, 限外濾過を行ない血液を濃縮した。リザーバーに貯血した血液は洗浄を行なわずに全血のまま輸血した。装置非使用例との比較で腹部大動脈瘤手術では1350ml, 胸部大動脈瘤では1500mlの他家血輸血を節減できた。腹部大動脈瘤手術8例中5例は全く他家血を使用しなかった。術...
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Published in | 人工臓器 Vol. 18; no. 1; pp. 391 - 394 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
1989
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
DOI | 10.11392/jsao1972.18.391 |
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Summary: | 大血管手術12例(腹部大動脈瘤8例, 胸部大動脈瘤4例)に術中自己血回収輸血装置を使用した。装置は吸引管, 吸引用ローラーポンプ, Cardiotomy reservoir, 送血用ローラーポンプ, からなり, 全身ヘパリン化を行ない, 吸引管の先端からヘパリン生食を滴下させる局所ヘパリン化も併用した。吸引量が過量になった場合には, 限外濾過を行ない血液を濃縮した。リザーバーに貯血した血液は洗浄を行なわずに全血のまま輸血した。装置非使用例との比較で腹部大動脈瘤手術では1350ml, 胸部大動脈瘤では1500mlの他家血輸血を節減できた。腹部大動脈瘤手術8例中5例は全く他家血を使用しなかった。術後溶血尿, 軽度腎障害を認めたが, 出血, 凝固異常, 微小塞栓, などに大きな問題はなく, 手術死亡もなかった。本法は操作が簡単で, 安全に自己血輸血が可能で他家血輸血を節減でき, 大血管手術には有用と考えられた。 |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.18.391 |