乳癌骨転移症例に関する臨床病理学的検討

乳癌は骨転移の好発する悪性腫瘍であるが,骨転移後の長期生存例も認められる.適切な治療法を選択すればQOLの改善と延命効果が期待でき,その取り扱いは重要である. 1971年から26年間に当科で経験した原発性乳癌540症例中,骨転移を来した60症例について臨床病理学的検討を行った.その結果,骨転移をおこしやすい症例は, (1)腫瘍径が小さい場合,充実腺管癌・硬癌, (2)乳頭腺管癌では,腫瘍径の大きい症例, (3) n0かつ脈管侵襲陰性の場合,充実腺管癌,の3点に集約された.また充実腺管癌では,骨転移を来しやすいが限局した状態で発見された症例が多く,転移後の生存期間も長いことより,特に術後5年以内...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 1; pp. 12 - 17
Main Authors 土井, 美幸, 浅越, 辰男, 三吉, 博, 蓮見, 直彦, 小平, 進, 長岡, 信彦, 花谷, 勇治, 葉梨, 圭美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.01.1998
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.12

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Summary:乳癌は骨転移の好発する悪性腫瘍であるが,骨転移後の長期生存例も認められる.適切な治療法を選択すればQOLの改善と延命効果が期待でき,その取り扱いは重要である. 1971年から26年間に当科で経験した原発性乳癌540症例中,骨転移を来した60症例について臨床病理学的検討を行った.その結果,骨転移をおこしやすい症例は, (1)腫瘍径が小さい場合,充実腺管癌・硬癌, (2)乳頭腺管癌では,腫瘍径の大きい症例, (3) n0かつ脈管侵襲陰性の場合,充実腺管癌,の3点に集約された.また充実腺管癌では,骨転移を来しやすいが限局した状態で発見された症例が多く,転移後の生存期間も長いことより,特に術後5年以内における骨転移に対する精査が肝要であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.12