シェーグレン症候群,重症筋無力症を疑われた慢性疲労症候群の1症例

31歳女性.数年の経過で全身倦怠感があり,自宅で臥床していたが,全身倦怠感,関節痛,頭痛および眼瞼下垂を主訴として,精査を求めて平成4年4月当科入院.諸検査より慢性疲労症候群(CFS),シェーグレン症候群ならびに重症筋無力症を疑われたが,アメリカCDCの診断基準に基づいてCFSと診断した.一方, CFSは他の慢性疾患が除外されなければ診断できないため,鑑別診断を試みた.シェーグレン症候群に関しては唾液分泌能試験およびSchirmer試験陽性であり,疑い例とされたが,自己抗体を含めて他の検査は陰性であった.重症筋無力症については眼瞼下垂,外眼筋麻痺が認められ,またテンシロンテスト陽性と判断された...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 16; no. 4; pp. 324 - 328
Main Authors 村上, 理絵子, 谷内, 昭, 杉山, 敏郎, 林, 敏昭, 山下, 健太郎, 今井, 浩三, 千葉, 進, 高橋, 裕樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 1993
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.16.324

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Summary:31歳女性.数年の経過で全身倦怠感があり,自宅で臥床していたが,全身倦怠感,関節痛,頭痛および眼瞼下垂を主訴として,精査を求めて平成4年4月当科入院.諸検査より慢性疲労症候群(CFS),シェーグレン症候群ならびに重症筋無力症を疑われたが,アメリカCDCの診断基準に基づいてCFSと診断した.一方, CFSは他の慢性疾患が除外されなければ診断できないため,鑑別診断を試みた.シェーグレン症候群に関しては唾液分泌能試験およびSchirmer試験陽性であり,疑い例とされたが,自己抗体を含めて他の検査は陰性であった.重症筋無力症については眼瞼下垂,外眼筋麻痺が認められ,またテンシロンテスト陽性と判断されたが,誘発筋電図,抗AChR抗体は陰性で確定診断に至らなかった. CFSは注目すべき疾患と思われるが,本症例のようにいくつかの自己免疫疾患と鑑別が困難な場合もあると思われ,その点で興味がもたれたので報告した.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.16.324