乾燥濃縮ヒト活性型プロテインC製剤の投与下に脳室腹腔短絡術を行った先天性プロテインC欠乏症
プロテインC (PC) は肝臓で産生されるビタミンK依存性糖蛋白で, その活性型 (APC) は血液凝固系において活性型第V, VIII因子を不活化し, 血液線溶系においてもプラスミノゲンアクチベーターインヒビター-1を不活化する重要な血液凝固抑制・線溶促進因子である.われわれは新生児期から電撃性紫斑を反復した先天性PC欠乏症を経験し, APC製剤の投与下に脳室腹腔短絡術を施行し, 比較的良好な経過を得た.一般に, 新生児期に発症する先天性PC欠乏症は反復する四肢や頭部の電撃性紫斑を認め, 眼および中枢神経系合併症が進行する.特徴的な臨床症状から本症が疑われた際は, PC活性および抗原量の検索...
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Published in | 日本小児血液学会雑誌 Vol. 16; no. 5; pp. 317 - 321 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
31.10.2002
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ISSN | 0913-8706 1884-4723 |
DOI | 10.11412/jjph1987.16.317 |
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Summary: | プロテインC (PC) は肝臓で産生されるビタミンK依存性糖蛋白で, その活性型 (APC) は血液凝固系において活性型第V, VIII因子を不活化し, 血液線溶系においてもプラスミノゲンアクチベーターインヒビター-1を不活化する重要な血液凝固抑制・線溶促進因子である.われわれは新生児期から電撃性紫斑を反復した先天性PC欠乏症を経験し, APC製剤の投与下に脳室腹腔短絡術を施行し, 比較的良好な経過を得た.一般に, 新生児期に発症する先天性PC欠乏症は反復する四肢や頭部の電撃性紫斑を認め, 眼および中枢神経系合併症が進行する.特徴的な臨床症状から本症が疑われた際は, PC活性および抗原量の検索とともに速やかな治療が必要である.治療はPCの補充とワルファリンの投与が主体となるが, 長期的な管理は細心の注意が必要となる.肝移植が奏効した症例の報告もあるが, 将来的には遺伝子治療などの新たな治療法の進歩が待たれる. |
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ISSN: | 0913-8706 1884-4723 |
DOI: | 10.11412/jjph1987.16.317 |