吸収性縫合糸によるePTFE人工血管吻合の検討

吸収性縫合糸polidioxanon(PDS)糸を, ePTFE人工血管のイヌ腹部大動脈移植に用い, 吻合部の宿主ならびに人工血管の治癒状況について検討した。対照にはpolypropylene(PP)糸を用いた。移植3カ月後では組織学的にも縫合糸による宿主ならびに人工血管への圧迫所見は残っており, 硝子様変性領域及びePTFEの縫いしろ部分の圧迫等治癒阻害像はPPと大差なかった。移植2年後ではPDS側吻合部での硝子様変性領域の消失, ePTFEのporosityの回復等による良好な器質化が達成された。ePTFEの最大の問題点である吻合部内膜肥厚を減少させる一助として吸収性縫合糸の有効性が示唆さ...

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Published in人工臓器 Vol. 18; no. 1; pp. 233 - 236
Main Authors 稲葉, 雅史, 直油, 綾子, 堀尾, 昌司, 森本, 典雄, 境, 普子, 西岡, 洋, 久保, 良彦, 笹嶋, 唯博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1989
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.18.233

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Summary:吸収性縫合糸polidioxanon(PDS)糸を, ePTFE人工血管のイヌ腹部大動脈移植に用い, 吻合部の宿主ならびに人工血管の治癒状況について検討した。対照にはpolypropylene(PP)糸を用いた。移植3カ月後では組織学的にも縫合糸による宿主ならびに人工血管への圧迫所見は残っており, 硝子様変性領域及びePTFEの縫いしろ部分の圧迫等治癒阻害像はPPと大差なかった。移植2年後ではPDS側吻合部での硝子様変性領域の消失, ePTFEのporosityの回復等による良好な器質化が達成された。ePTFEの最大の問題点である吻合部内膜肥厚を減少させる一助として吸収性縫合糸の有効性が示唆された。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.18.233