低プロトロンビン血症性ループス抗凝固因子症候群を発症した健康小児例
低プロトロンビン血症性ループス抗凝固因子 (LA) 症候群と診断した基礎疾患を有さない3歳男児を報告する.胃腸炎発症の10日後に, 止血困難な鼻出血と臀部・下肢の皮下出血斑の精査のために入院した.血小板数は正常であったが, プロトロンビン時間 (PT) が30.0秒, 活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) が127.3秒と著しい延長を示した.PIVKA IIは陰性であった.患者血漿と正常血漿の混合試験でPTは正常化したが, APTT延長は改善されず, 凝固学的検査で, 凝固第II因子活性の著明な低下 (10%) と高力価LAの存在 (希釈ラッセル蛇毒時間が2.19倍に延長, リン脂質...
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Published in | 日本小児血液学会雑誌 Vol. 18; no. 6; pp. 614 - 617 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
31.12.2004
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ISSN | 0913-8706 1884-4723 |
DOI | 10.11412/jjph1987.18.6_614 |
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Summary: | 低プロトロンビン血症性ループス抗凝固因子 (LA) 症候群と診断した基礎疾患を有さない3歳男児を報告する.胃腸炎発症の10日後に, 止血困難な鼻出血と臀部・下肢の皮下出血斑の精査のために入院した.血小板数は正常であったが, プロトロンビン時間 (PT) が30.0秒, 活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) が127.3秒と著しい延長を示した.PIVKA IIは陰性であった.患者血漿と正常血漿の混合試験でPTは正常化したが, APTT延長は改善されず, 凝固学的検査で, 凝固第II因子活性の著明な低下 (10%) と高力価LAの存在 (希釈ラッセル蛇毒時間が2.19倍に延長, リン脂質中和法が陽性) が明らかとなった.無治療で経過を観察したところ, 出血傾向は自然に消退し, 凝固時間も次第に正常化した. |
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ISSN: | 0913-8706 1884-4723 |
DOI: | 10.11412/jjph1987.18.6_614 |