縦隔原発B細胞リンパ腫の2小児例

縦隔原発B細胞リンパ腫 (primary mediastinal large B cell lymphoma : PMLCL) の2小児例を経験した.症例1は10歳女児.胸腹壁静脈怒張で発症し, 右前縦隔の腫瘤および腫瘍の上大静脈への浸潤, 閉塞を認めた.症例2は14歳男児.嚥下時の違和感で発症し, 左前縦隔に巨大な腫瘤と心嚢液, 胸水を認めた.症例1は生検時腫瘍がきわめて硬く, 症例2は病理組織では硬化像を認めた.2例とも腫瘍細胞は成熟B細胞の形質を示し, 病期はIII期であった.大阪小児白血病治療研究グループのB93プロトコールに従い治療を行ったところ両症例とも良好な反応が得られた.しかし...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 13; no. 2; pp. 111 - 116
Main Authors 高井, 建司, 藤崎, 弘之, 時政, 定雄, 原, 純一, 太田, 秀明, 松田, 佳子, 岡田, 伸太郎, 大杉, 夕子, 中西, 康詞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 30.04.1999
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.13.111

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Summary:縦隔原発B細胞リンパ腫 (primary mediastinal large B cell lymphoma : PMLCL) の2小児例を経験した.症例1は10歳女児.胸腹壁静脈怒張で発症し, 右前縦隔の腫瘤および腫瘍の上大静脈への浸潤, 閉塞を認めた.症例2は14歳男児.嚥下時の違和感で発症し, 左前縦隔に巨大な腫瘤と心嚢液, 胸水を認めた.症例1は生検時腫瘍がきわめて硬く, 症例2は病理組織では硬化像を認めた.2例とも腫瘍細胞は成熟B細胞の形質を示し, 病期はIII期であった.大阪小児白血病治療研究グループのB93プロトコールに従い治療を行ったところ両症例とも良好な反応が得られた.しかし, 化学療法途中から腫瘍の大きさが変化せず, 開胸生検や画像診断により寛解と判断した.現在, 診断後それぞれ32カ月, 15カ月寛解が持続しており, 腫瘍の残存は硬化性病変のためと考えられ, 必ずしも治療抵抗性を示すものではないと考えられた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.13.111