保存的治療により救命し得た特発性食道破裂の1例

特発性食道破裂は致死的な疾患であり早期の診断と適切な処置を行う必要がある。今回われわれは有効なドレナージと洗浄により保存的に治療できた特発性食道破裂の一例を経験したので報告する。症例は56歳, 男性。飲酒後の嘔吐に続く腰背部痛を主訴に近医を受診。心血管疾患を疑われ当科へ紹介された。胸部Xpおよび胸部CTで縦隔気腫があり, 特発性食道破裂と診断した。発症から確定診断までの時間は約6時間であった。この際, 胸水, 縦隔内膿瘍はなかったため, 経鼻胃管留置および抗生剤投与を行った。第3病日に左側に胸水が貯留し胸腔ドレナージを行い, その後トロッカーを用いた持続洗浄, 抗生剤の投与, 高カロリー輸液に...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 25; no. 7; pp. 923 - 927
Main Authors 岡本, 講平, 鈴木, 彰, 土屋, 拓司, 清水, 文彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2005
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem1993.25.923

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Summary:特発性食道破裂は致死的な疾患であり早期の診断と適切な処置を行う必要がある。今回われわれは有効なドレナージと洗浄により保存的に治療できた特発性食道破裂の一例を経験したので報告する。症例は56歳, 男性。飲酒後の嘔吐に続く腰背部痛を主訴に近医を受診。心血管疾患を疑われ当科へ紹介された。胸部Xpおよび胸部CTで縦隔気腫があり, 特発性食道破裂と診断した。発症から確定診断までの時間は約6時間であった。この際, 胸水, 縦隔内膿瘍はなかったため, 経鼻胃管留置および抗生剤投与を行った。第3病日に左側に胸水が貯留し胸腔ドレナージを行い, その後トロッカーを用いた持続洗浄, 抗生剤の投与, 高カロリー輸液による栄養管理を行ったところ第42病日の造影で瘻孔の閉鎖が確認できた。アレルギー性紫斑病を合併したが, 経過観察のみで軽快し, 第89病Fiに退院した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem1993.25.923