施肥と倒伏(コシヒカリの倒伏をめぐって)

倒伏に対する施肥の影響について, 試験結果をもとに項目ごとに, 一般的なことを述べたが, これを総合することで施肥体系が組まれることになる.生育途中での過剰な施肥は倒伏という収量, 品質, 食味を落とす結果へつながっている.最近の稲作りの傾向としては, 基肥施用量は全体の30〜40%とする, 後期重点型という方向にになっている.しかし, これについても穂肥以降の窒素の過剰施用という問題があり, 目標とする生育量を確実に確保した上での後期追肥が必要となろう.つまり, 基肥施用では穂肥を施用できるような稲姿に仕上げられるような施用法が, その施用位置(側条施肥法)も含めての, 基肥施用の基本である...

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Published in北陸作物学会報 Vol. 26; pp. 125 - 131
Main Author 斎藤, 祐幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北陸作物・育種学会 1991
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ISSN0388-8061
2189-7417
DOI10.19016/hokurikucs.26.0_125

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Abstract 倒伏に対する施肥の影響について, 試験結果をもとに項目ごとに, 一般的なことを述べたが, これを総合することで施肥体系が組まれることになる.生育途中での過剰な施肥は倒伏という収量, 品質, 食味を落とす結果へつながっている.最近の稲作りの傾向としては, 基肥施用量は全体の30〜40%とする, 後期重点型という方向にになっている.しかし, これについても穂肥以降の窒素の過剰施用という問題があり, 目標とする生育量を確実に確保した上での後期追肥が必要となろう.つまり, 基肥施用では穂肥を施用できるような稲姿に仕上げられるような施用法が, その施用位置(側条施肥法)も含めての, 基肥施用の基本である.穂肥施用については, 施用時の生育量の的確な把握により, 施用時期, 施用量を含めた施用法が決定されなければならない.早すぎても, 多すぎても倒伏の誘引となりやすい.穂肥そのものはどちらかというと倒伏にはマイナス要因ではあるが, 収量, 品質といった面からは不可欠のものである.さらに穂揃期追肥は登熟期の稲体栄養の維持としての役割が倒伏軽減の効果にもつながっている.しかし, 今回は具体的なデータでは触れなかったが, 過剰施用による品質・食味の低下の問題も銘柄米の産地形成が進みつつある現状から, その対応が必要となるであろう.施用にあたっては必要最小限にとどめるべきで, それ以上に施用しても倒伏軽減に対しては効果は極めて少なく, むしろ, 品質・食味への悪影響を招くことの方が多いということを認識すべきである.
AbstractList 倒伏に対する施肥の影響について, 試験結果をもとに項目ごとに, 一般的なことを述べたが, これを総合することで施肥体系が組まれることになる.生育途中での過剰な施肥は倒伏という収量, 品質, 食味を落とす結果へつながっている.最近の稲作りの傾向としては, 基肥施用量は全体の30〜40%とする, 後期重点型という方向にになっている.しかし, これについても穂肥以降の窒素の過剰施用という問題があり, 目標とする生育量を確実に確保した上での後期追肥が必要となろう.つまり, 基肥施用では穂肥を施用できるような稲姿に仕上げられるような施用法が, その施用位置(側条施肥法)も含めての, 基肥施用の基本である.穂肥施用については, 施用時の生育量の的確な把握により, 施用時期, 施用量を含めた施用法が決定されなければならない.早すぎても, 多すぎても倒伏の誘引となりやすい.穂肥そのものはどちらかというと倒伏にはマイナス要因ではあるが, 収量, 品質といった面からは不可欠のものである.さらに穂揃期追肥は登熟期の稲体栄養の維持としての役割が倒伏軽減の効果にもつながっている.しかし, 今回は具体的なデータでは触れなかったが, 過剰施用による品質・食味の低下の問題も銘柄米の産地形成が進みつつある現状から, その対応が必要となるであろう.施用にあたっては必要最小限にとどめるべきで, それ以上に施用しても倒伏軽減に対しては効果は極めて少なく, むしろ, 品質・食味への悪影響を招くことの方が多いということを認識すべきである.
Author 斎藤, 祐幸
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