急性散在性脳脊髄炎と多発神経炎を併発した抗ラクトシルセラミド(LacCer)抗体陽性の1例

症例は68歳の男性.上気道感染に引き続き,頭痛で発症し,発症3日後に眼球運動障害,球麻痺,四肢麻痺となり人工呼吸器管理となった.頭部MRIのFLAIR画像で両側の橋・延髄境界部に高信号病変を認め,神経伝導検査で運動神経優位の軸索障害を認めた.後日,血中抗ラクトシルセラミド(LacCer)抗体が陽性と判明し,急性散在性脳脊髄炎と多発神経炎の合併と診断した.ステロイドパルス療法,血漿交換,免疫グロブリン大量静注療法を行い,意識障害,眼球運動障害は改善しMRIで脳幹部病変は縮小したが,四肢麻痺は残存した.本例は,抗LacCer抗体が陽性で,急性散在性脳脊髄炎と多発神経炎を併発した稀な症例である....

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Published in臨床神経学 Vol. 58; no. 5; pp. 297 - 301
Main Authors 林, 智宏, 温井, 孝昌, 高嶋, 修太郎, 中辻, 裕司, 島, さゆり, 武藤, 多津郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2018
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Summary:症例は68歳の男性.上気道感染に引き続き,頭痛で発症し,発症3日後に眼球運動障害,球麻痺,四肢麻痺となり人工呼吸器管理となった.頭部MRIのFLAIR画像で両側の橋・延髄境界部に高信号病変を認め,神経伝導検査で運動神経優位の軸索障害を認めた.後日,血中抗ラクトシルセラミド(LacCer)抗体が陽性と判明し,急性散在性脳脊髄炎と多発神経炎の合併と診断した.ステロイドパルス療法,血漿交換,免疫グロブリン大量静注療法を行い,意識障害,眼球運動障害は改善しMRIで脳幹部病変は縮小したが,四肢麻痺は残存した.本例は,抗LacCer抗体が陽性で,急性散在性脳脊髄炎と多発神経炎を併発した稀な症例である.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001131