第19回 心臓性急死研究会 救命しえた劇症型好酸球性心筋炎の1例

症例は19歳,男性.主訴は胸苦・胸痛.2006年4月29日午前2時ころ,胸苦・胸痛のため近医を受診,心電図上広範囲のST-T変化を認め急性心膜炎の疑いで入院となった.30日午前4時ころより血圧低下がみられたためdopamine点滴を開始され当科転院となった.転院時,血圧80mmHg,脈拍130/分で,奇脈,III音,頸静脈怒張を認めた,心エコーでの左室壁厚増大とびまん性の高度壁運動低下(左室駆出率23.8%),多量の心嚢液貯留,CPKの上昇などから劇症型心筋炎による心原性ショックと診断した.機械的循環補助を行った上で,心臓カテーテル検査により冠動脈疾患を否定し,右室心内膜心筋生検を施行した.5...

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Published in心臓 Vol. 39; no. Supplement3; pp. 112 - 117
Main Authors 圓光, 賢希, 桜木, 悟, 柳井, 広之, 大郷, 恵子, 大家, 政志, 草野, 研吾, 難波, 靖治, 大森, 昌子, 津田, 佳穂, 永瀬, 聡, 中村, 一文, 大江, 透
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2007
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.39.Supplement3_112

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Summary:症例は19歳,男性.主訴は胸苦・胸痛.2006年4月29日午前2時ころ,胸苦・胸痛のため近医を受診,心電図上広範囲のST-T変化を認め急性心膜炎の疑いで入院となった.30日午前4時ころより血圧低下がみられたためdopamine点滴を開始され当科転院となった.転院時,血圧80mmHg,脈拍130/分で,奇脈,III音,頸静脈怒張を認めた,心エコーでの左室壁厚増大とびまん性の高度壁運動低下(左室駆出率23.8%),多量の心嚢液貯留,CPKの上昇などから劇症型心筋炎による心原性ショックと診断した.機械的循環補助を行った上で,心臓カテーテル検査により冠動脈疾患を否定し,右室心内膜心筋生検を施行した.5月2日好酸球性心筋炎との組織診断によりステロイド投与を開始した.そのころより心機能の急速な回復がみられ,補助循環が離脱可能となった(離脱時に脳出血を合併).その後ステロイドを漸減中止したが好酸球性心筋炎の再発やLoffler心内膜炎への移行は認めていない.原因検索の結果,イヌ回虫に対する抗体が陽性であり,寄生虫感染に関連した好酸球性心筋炎と考えられた. 今回われわれは劇症型心筋炎がイヌ回虫感染に伴う好酸球性心筋炎によるという稀な1例を経験し,ステロイド投与と機械的循環補助により救命しえたので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.39.Supplement3_112