Subtraction法を用いたQRS区間内の微小高周波成分検出とそれによる心室内伝導障害例の検討
QRS区間内の微小高周波成分を検出し, その経時的な形態変化から心室内興奮伝播様式の解析を行った.検出には時間情報の歪みが小さく, 濾波特性の変更が容易なsubtraction法を用い最適な濾波特性を求めた.対象は健常例 (N群) , 右, 左脚ブロック例 (R, L群) , 右, 左脚ブロック型心室期外収縮例 (VR, VL群) とした.N群は初期低振幅, 中期高振幅, 後期低振幅の3成分を形成した.R群はN群より中期の振幅は低く, 後期の持続時間は延長した.L群は中, 後期の分離は不明瞭で, 持続時間は著明に延長し振幅は低値を示した.VR, VL群は初期の持続時間は延長し振幅は低値を示した...
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Published in | 心電図 Vol. 13; no. 3; pp. 301 - 311 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本不整脈心電学会
1993
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ISSN | 0285-1660 1884-2437 |
DOI | 10.5105/jse.13.301 |
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Summary: | QRS区間内の微小高周波成分を検出し, その経時的な形態変化から心室内興奮伝播様式の解析を行った.検出には時間情報の歪みが小さく, 濾波特性の変更が容易なsubtraction法を用い最適な濾波特性を求めた.対象は健常例 (N群) , 右, 左脚ブロック例 (R, L群) , 右, 左脚ブロック型心室期外収縮例 (VR, VL群) とした.N群は初期低振幅, 中期高振幅, 後期低振幅の3成分を形成した.R群はN群より中期の振幅は低く, 後期の持続時間は延長した.L群は中, 後期の分離は不明瞭で, 持続時間は著明に延長し振幅は低値を示した.VR, VL群は初期の持続時間は延長し振幅は低値を示した.以上より伝導系を介する興奮は持続時間は短く, 電位変動が大で高周波成分を多く含んでいた.伝導障害, 興奮発生・進行の異常による心室筋内伝導の場合は持続時間は延長し, 電位変動が小さいと考えられた.本研究により心室内興奮伝播様式の鑑別が可能と考えられた. |
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ISSN: | 0285-1660 1884-2437 |
DOI: | 10.5105/jse.13.301 |