第11回心臓性急死研究会 冠攣縮が誘発されたBrugada症候群の2例

アセチルコリン(Ach)負荷により冠攣縮が誘発されたBrugada症候群の2例を報告する. 症例1:65歳の男性で,主訴は胸痛発作.安静時の心電図で,右脚ブロックと右側胸部誘導にcoved型のST上昇を認めた.右冠動脈へのAch注入後,V1からV3誘導に最大1.4mVのST上昇が出現した.その後,AHA#2の完全途絶をきたす冠攣縮が発生した.この際,II,III,aVF誘導のST上昇に伴いV1からV3誘導のSTは下降した.また,冠攣縮の寛解によりII,III,aVF誘導のSTが基線に復すると同時に,V1からV3誘導のSTは再上昇した.なお,左冠動脈へのAch注入では変化を認めなかった.心室細動...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 31; no. Supplement4; pp. 96 - 100
Main Authors 熊谷, 正之, 阿部, 芳久, 熊谷, 肇, 門脇, 謙, 佐藤, 匡也, 庄司, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1999
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.31.Supplement4_96

Cover

More Information
Summary:アセチルコリン(Ach)負荷により冠攣縮が誘発されたBrugada症候群の2例を報告する. 症例1:65歳の男性で,主訴は胸痛発作.安静時の心電図で,右脚ブロックと右側胸部誘導にcoved型のST上昇を認めた.右冠動脈へのAch注入後,V1からV3誘導に最大1.4mVのST上昇が出現した.その後,AHA#2の完全途絶をきたす冠攣縮が発生した.この際,II,III,aVF誘導のST上昇に伴いV1からV3誘導のSTは下降した.また,冠攣縮の寛解によりII,III,aVF誘導のSTが基線に復すると同時に,V1からV3誘導のSTは再上昇した.なお,左冠動脈へのAch注入では変化を認めなかった.心室細動は誘発されなかった.本症例から,Brugada型ST上昇は対側の虚血に伴う鏡像的変化をきたすことが示された. 症例2:48歳の男性で,主訴は失神発作.農作業終了後のビール飲酒中に失禁を伴う失神をきたした.搬送時の心電図で,V1誘導でcoved型を呈する右胸部誘導のST上昇を認めた.また,心室性期外収縮が3連発を含めて頻発していた.右冠動脈ではAch冠注後に右側胸部誘導のSTが一過性に上昇したが,冠攣縮は誘発されなかった.左冠動脈では前下行枝・回旋枝ともにびまん性の冠攣縮が誘発されたが,胸痛や心電図変化は伴わなかった.心室細動は誘発されなかった.失神に不整脈の関与が強く疑われるが,心室細動が誘発されない例の治療方針については一定の見解がなく,今後の検討課題と考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.31.Supplement4_96