マウス胎子および母体における137Csの臓器分布

妊娠17日目のマウスに137Csを1回静脈内に投与した後, 胎子および母体臓器における137Csの取込みを放射線測定およびマクロオートラジオグラフィによって調べた。投与後24時間目の胎子1匹あたりにおける取込み量は投与量の0.8%で, 1腹あたりに換算すると投与量の11%となった。さらに, 投与後24時間目における胎子各臓器の137Cs濃度は0.4-0.8%/gであったのに対して, 母体各臓器の濃度は2-6%/gであり, 母体臓器における濃度のほうが胎子臓器の濃度よりも4-6倍ほど高くなった。特に, 母体の器官のなかでも唾液腺が最も高い濃度を示し, 投与後1時間目および24時間目では, それぞ...

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Published inRADIOISOTOPES Vol. 46; no. 4; pp. 214 - 218
Main Authors 小林, 晴男, 松坂, 尚典, 山川, 洋司, 佐藤, 至, 西村, 義一, 津田, 修治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本アイソトープ協会 1997
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ISSN0033-8303
1884-4111
DOI10.3769/radioisotopes.46.214

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Summary:妊娠17日目のマウスに137Csを1回静脈内に投与した後, 胎子および母体臓器における137Csの取込みを放射線測定およびマクロオートラジオグラフィによって調べた。投与後24時間目の胎子1匹あたりにおける取込み量は投与量の0.8%で, 1腹あたりに換算すると投与量の11%となった。さらに, 投与後24時間目における胎子各臓器の137Cs濃度は0.4-0.8%/gであったのに対して, 母体各臓器の濃度は2-6%/gであり, 母体臓器における濃度のほうが胎子臓器の濃度よりも4-6倍ほど高くなった。特に, 母体の器官のなかでも唾液腺が最も高い濃度を示し, 投与後1時間目および24時間目では, それぞれ25%/gおよび6.4%/gとなった。唾液腺は甲状腺に近接して存在しているので, 唾液腺における137Csの顕著な取込みについて注目する必要がある。マクロオートラジオグラムの所見は, 放射線測定によって得られた結果を支持するものであり, カラーで示された像は137Csの臓器分布を視覚的に捉えるのに役立つ。
ISSN:0033-8303
1884-4111
DOI:10.3769/radioisotopes.46.214