変成岩組織と鉱物組成累帯構造からの情報抽出 フォーワードモデルと逆解析
変成作用は,地球内部の温度・圧力・化学組成などの条件に応答して進行する化学反応である.変成作用の時間変化を観測することは難しく,最終状態の空間パターン(岩石組織)という独特な情報をいかに読み解くかが,岩石の形成条件やプロセスを理解する鍵となる.変成岩組織には,解釈がシンプルで理論背景が確立しているものから,複数のプロセスが関与して,モデル自体も手探りなものまで様々なクラスがある.本総説では,鉱物の組成累帯構造の熱力学的解析と,反応–破壊カップリング組織の離散要素法モデルを代表例とし,変成岩組織の逆解析とフォーワードモデリングの最近の進展についてまとめる.また,確率的な逆解析が,不定要素の大きい...
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Published in | 地質学雑誌 Vol. 123; no. 9; pp. 733 - 745 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本地質学会
15.09.2017
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Subjects | |
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ISSN | 0016-7630 1349-9963 |
DOI | 10.5575/geosoc.2017.0034 |
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Summary: | 変成作用は,地球内部の温度・圧力・化学組成などの条件に応答して進行する化学反応である.変成作用の時間変化を観測することは難しく,最終状態の空間パターン(岩石組織)という独特な情報をいかに読み解くかが,岩石の形成条件やプロセスを理解する鍵となる.変成岩組織には,解釈がシンプルで理論背景が確立しているものから,複数のプロセスが関与して,モデル自体も手探りなものまで様々なクラスがある.本総説では,鉱物の組成累帯構造の熱力学的解析と,反応–破壊カップリング組織の離散要素法モデルを代表例とし,変成岩組織の逆解析とフォーワードモデリングの最近の進展についてまとめる.また,確率的な逆解析が,不定要素の大きい岩石学の問題に有効であることを示す.数値シミュレーションと観測データを統合するデータ同化的なアプローチは,今後,複雑な岩石組織の解読にブレイクスルーをもたらすものと期待できる. |
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ISSN: | 0016-7630 1349-9963 |
DOI: | 10.5575/geosoc.2017.0034 |