術中心停止にて再建手術を行えなかった舌喉頭全摘術症例

舌喉頭全摘術では口腔と咽頭前壁の欠損が生じ,通常は腹直筋皮弁に代表される遊離筋皮弁再建や大胸筋皮弁による有茎筋皮弁再建が必要とされる。今回われわれは,中咽頭舌根癌T4aN2cM0症例に対して舌喉頭全摘,両側頸部郭清を行ったが,術中の心停止にて再建手術が行えず,残存粘膜を可及的に寄せ合わせた創閉鎖のみで手術終了した症例を経験した。術後は肉芽の増生と粘膜による上皮化が進み口腔底が形成された。術後50日目に行った透視では流動物の摂取が可能であることが確認された。術後2か月のMRI・CTでは再発を認めず,術後77日目に退院した。今回の経験より,舌喉頭全摘後に再建術が不可となっても,可及的な創閉鎖にて口...

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Published in頭頸部外科 Vol. 20; no. 3; pp. 231 - 237
Main Authors 今井, 隆之, 西條, 茂, 加藤, 健吾, 石田, 英一, 片桐, 克則, 松浦, 一登, 角田, 梨紗子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 28.02.2011
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.20.231

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Summary:舌喉頭全摘術では口腔と咽頭前壁の欠損が生じ,通常は腹直筋皮弁に代表される遊離筋皮弁再建や大胸筋皮弁による有茎筋皮弁再建が必要とされる。今回われわれは,中咽頭舌根癌T4aN2cM0症例に対して舌喉頭全摘,両側頸部郭清を行ったが,術中の心停止にて再建手術が行えず,残存粘膜を可及的に寄せ合わせた創閉鎖のみで手術終了した症例を経験した。術後は肉芽の増生と粘膜による上皮化が進み口腔底が形成された。術後50日目に行った透視では流動物の摂取が可能であることが確認された。術後2か月のMRI・CTでは再発を認めず,術後77日目に退院した。今回の経験より,舌喉頭全摘後に再建術が不可となっても,可及的な創閉鎖にて口腔底が形成出来る場合があると考えられた。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.20.231