ヒト呼吸器系ウイルスの検出における呼吸器系ウイルス多項目同時解析アッセイ (Luminex xTAG Respiratory Viral Panel FAST Assay) の有用性の検討

米国ルミネックス社 xTAG Respiratory Viral Panel FAST (RVP FAST) アッセイは,ヒトの主要な呼吸器系ウイルス 17 種を,一度の測定で網羅的に検出するシステムである.今回我々は,小児の急性呼吸器感染症から採取された鼻腔吸引液 67 検体を対象として,RVP により得られた成績をリアルタイム PCR などの従来から実施している 8 種類のウイルスをターゲットとした遺伝子増幅検査 (NAT) で得られた成績と比較することで,呼吸器系ウイルス検出における RVP FAST アッセイの有用性について検討した.RVP FAST アッセイでは,67 検体中 59...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 85; no. 1; pp. 31 - 36
Main Authors 岡崎, 富男, 鈴木, 和男, 原, 三千丸, 高尾, 信一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 2011
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi.85.31

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Summary:米国ルミネックス社 xTAG Respiratory Viral Panel FAST (RVP FAST) アッセイは,ヒトの主要な呼吸器系ウイルス 17 種を,一度の測定で網羅的に検出するシステムである.今回我々は,小児の急性呼吸器感染症から採取された鼻腔吸引液 67 検体を対象として,RVP により得られた成績をリアルタイム PCR などの従来から実施している 8 種類のウイルスをターゲットとした遺伝子増幅検査 (NAT) で得られた成績と比較することで,呼吸器系ウイルス検出における RVP FAST アッセイの有用性について検討した.RVP FAST アッセイでは,67 検体中 59 検体から 13 種類,98 件のウイルスが検出された.そのうち,NAT の成績と比較できたインフルエンザウイルス (Inf.V)-AH1,Inf.V-AH3,新型 Inf.V-AH1,Inf.V-B,アデノウイルス,RS ウイルス,メタニューモウイルス,ボカウイルスの 8 種のウイルスについては,NAT での成績を基準とすると,RVP FAST アッセイの感度は 83.3%~100%,特異性は 98.2%~100%であった.RVP FAST アッセイでは,それらのウイルスに加えて,コロナウイルス(CoV)229E,OC43,NL63,HKU1 の各ウイルス型が合計 10 検体から,またエンテロウイルスおよび/もしくはライノウイルスも 35 検体から検出できた.RVP FAST アッセイは,臨床上重要な呼吸器系ウイルスを,一度の測定で網羅的に検出できることから,呼吸器感染症患者の起因ウイルスの検索には有用な検査法と思われた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi.85.31