高解像度内圧計と多列面検出器型CTによる最新の嚥下機能検査法と病態評価について

嚥下機能検査において,嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査は信頼性の高い検査法として一般的によく用いられている.嚥下造影検査は簡便に治療指向的評価が可能であるが,構造変化の詳細評価が困難という問題点がある.嚥下内視鏡検査は,口腔機能の評価が不可能であることや咽頭収縮時の誤嚥が評価できないなどの問題点がある. 我々は,運動機能面での評価として,嚥下造影検査併用高解像度内圧検査(high-resolution manofluorography:HRMF)で嚥下圧と嚥下動態の同時評価を行っている.患者の嚥下圧変化を,1cmごとに配置された全周性センサーで軟口蓋レベル,舌根レベル,下咽頭レベル,食道レベルなど...

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 34; no. 1; pp. 11 - 20
Main Authors 上羽, 瑠美, 佐藤, 拓, 後藤, 多嘉緒, 山内, 彰人, 山岨, 達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 2021
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Summary:嚥下機能検査において,嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査は信頼性の高い検査法として一般的によく用いられている.嚥下造影検査は簡便に治療指向的評価が可能であるが,構造変化の詳細評価が困難という問題点がある.嚥下内視鏡検査は,口腔機能の評価が不可能であることや咽頭収縮時の誤嚥が評価できないなどの問題点がある. 我々は,運動機能面での評価として,嚥下造影検査併用高解像度内圧検査(high-resolution manofluorography:HRMF)で嚥下圧と嚥下動態の同時評価を行っている.患者の嚥下圧変化を,1cmごとに配置された全周性センサーで軟口蓋レベル,舌根レベル,下咽頭レベル,食道レベルなど細かく嚥下動作毎に評価することにより,リハビリテーションへの応用が可能である.さらに,構造評価として,動的で立体的解析が可能な320 列面検出器型CT(320-ADCT)を導入している.320-ADCTは,口腔,咽頭,喉頭,頸部食道の三次元画像を収集でき,連続画像を作成することで嚥下動態を立体的に画像化できる.各検査の特徴を熟知し,さまざまな検査を組み合わせることで嚥下機能の詳細なアセスメントが可能となる. 本稿では,運動機能評価としてのHRMFと構造評価としての320-ADCTによる嚥下検査(嚥下CT)を中心に,最近の嚥下診療への取り組みについて解説する.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology.34.11