抗Hu抗体陽性を示し傍腫瘍性神経症候群にて発見された原発不明縦隔リンパ節癌の1例

71歳,女性,1ヵ月前から進行する歩行障害を主訴に前医を受診した.神経学的検査にて末梢神経障害による感覚性失調症と診断され,抗Hu抗体が陽性のため傍腫瘍性神経症候群が疑われ当院紹介となった.FDG-PET検査にて大動脈弓左側と左鎖骨上窩に集積を伴う境界明瞭な腫瘤を認めたため傍腫瘍性神経症候群を伴う前縦隔腫瘍の診断で手術となった.アプローチは胸骨縦切開にて行った.腫瘤は術中迅速診断で上皮性の悪性腫瘍と診断されたため,胸腺癌の可能性も考慮し拡大胸腺摘除術,左鎖骨上窩腫瘤切除術を行った.永久標本では小細胞癌が検出され,診断は原発不明縦隔リンパ節癌となった.術後経過は良好で1ヵ月後より化学療法(CBD...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 1; pp. 100 - 105
Main Authors 植田, 真三久, 岩永, 幸一郎, 吉村, 雅裕, 若原, 鉄平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.2013
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.27.100

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Summary:71歳,女性,1ヵ月前から進行する歩行障害を主訴に前医を受診した.神経学的検査にて末梢神経障害による感覚性失調症と診断され,抗Hu抗体が陽性のため傍腫瘍性神経症候群が疑われ当院紹介となった.FDG-PET検査にて大動脈弓左側と左鎖骨上窩に集積を伴う境界明瞭な腫瘤を認めたため傍腫瘍性神経症候群を伴う前縦隔腫瘍の診断で手術となった.アプローチは胸骨縦切開にて行った.腫瘤は術中迅速診断で上皮性の悪性腫瘍と診断されたため,胸腺癌の可能性も考慮し拡大胸腺摘除術,左鎖骨上窩腫瘤切除術を行った.永久標本では小細胞癌が検出され,診断は原発不明縦隔リンパ節癌となった.術後経過は良好で1ヵ月後より化学療法(CBDCA+VP16)4コースを行い,現在では神経症状は消失し自力歩行可能となっている.抗Hu抗体陽性を示し歩行障害の精査にて発見された縦隔リンパ節癌の1手術例を経験したので報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.27.100