少量 (1~2単位) の術前自己血貯血の意義

自己血輸血には多くの利点があり, その対象症例も多科に及んでいる. しかし1症例あたりの貯血量は1~14単位と様々であり, それらが全て意義のある貯血であったかは疑問である. 特に貧血や貯血期間などの制約がないにも拘らず1~2単位の貯血で手術に臨んだ症例は, 実際には無輸血で手術が終了した可能性が高い. そこで少量貯血を行った症例を対象にその意義について検討した. 対象と方法 1987年11月2日より1993年5月31日までに当部に術前自己血貯血を目的に紹介された878例を対象とした. 患者の全身状態, 貧血の有無, 年齢, 体重及び手術スケジュール等を総合的に検討し, 週1回採血し4℃で保存...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 3; pp. 434 - 438
Main Authors 橋本, 長吉, 元木, 良一, 田崎, 哲典, 大戸, 斉, 遠山, ゆり子, 野口, まゆみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1994
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.40.434

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Summary:自己血輸血には多くの利点があり, その対象症例も多科に及んでいる. しかし1症例あたりの貯血量は1~14単位と様々であり, それらが全て意義のある貯血であったかは疑問である. 特に貧血や貯血期間などの制約がないにも拘らず1~2単位の貯血で手術に臨んだ症例は, 実際には無輸血で手術が終了した可能性が高い. そこで少量貯血を行った症例を対象にその意義について検討した. 対象と方法 1987年11月2日より1993年5月31日までに当部に術前自己血貯血を目的に紹介された878例を対象とした. 患者の全身状態, 貧血の有無, 年齢, 体重及び手術スケジュール等を総合的に検討し, 週1回採血し4℃で保存した. 各貯血前には血算の他, 生化学的検査を行い, 鉄剤はそのデータを参考に適宜投与した. 血清エリスロポエチン(s-EPO)濃度は, radioimmunoassay法(エリスロポエチンRIA「中外」)で測定した.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.40.434